「紙でできたデジカメ」として若年層を中心に注目を集めているのが、台湾生まれの「PaperShoot」。紙製のジャケットで覆われたカメラ本体には背面液晶すらなく、使い勝手はハッキリいって悪いのですが、撮れる絵はフィルム風の味があって意外にハマります。透明なアクリル製のジャケットや木でできたジャケットなど、変わり種のジャケットに替えて別物のカメラのようにして使えるのも楽しいポイント。ふだんミラーレスなどの高性能カメラを駆使している人も、気分を変えて楽しめるカメラといえそうです。
重さわずか80g、外装が厚紙でできたデジカメ
PaperShootは、台湾生まれの新趣向デジカメ。カメラの機能をまとめた1枚の基板と、それを覆う構造のジャケットだけで構成されていて、きわめてシンプル。ファインダーは単なる素通しの穴で、正確なフレーミングは望むべくもありません。背面液晶はなく、スマホと連携するWi-Fi機能もないので、撮影した写真はパソコンでSDカードを開くまでは見られません。写真を記録する媒体が違うだけで、使い勝手は「写ルンです」などのレンズ付きフィルムに近いといえます。
PaperShootが「紙でできたデジカメ」と言われるのは、ジャケットの素材からきています。標準で付属するジャケットは、クラシックカメラなど遊び心のある絵柄がプリントされた厚紙でできていて、ジャケットを装着してもわずか80g程度の軽さに収まります。厚みも1cmちょっとしかなく、付箋紙の束のような感覚で気軽に持ち歩けます。あまりに軽いので、うっかり落としても基本的にノーダメージで済むでしょう。
別売のジャケットは、さまざまなデザインが印刷された厚紙タイプだけでなく、自分で好きな絵を描けるタイプも用意。さらに、透明なアクリル製ジャケットや木でできたジャケット、ずっしり重い金属製ジャケットなど、多くの変わり種ケースも用意しています。着せ替えが簡単にできるのも、PaperShootの大きな魅力といえます。
撮影時はストレスがたまるも、撮れた写真は雰囲気アリ
実際にPaperShootでいろいろな被写体を撮影してみましたが、最初はとにかくヤキモキさせられました。中央上部にあるファインダーは単なる“穴”なので、正確なフレーミングはまったく期待できません。いい被写体を見つけたら、カメラを少しずつ動かして何枚か撮影し、“数打ちゃ当たる”を狙うのがよさそうです。
ファインダー以上に困ったのが、シャッタータイムラグの長さ。本体前面にあるシャッターボタンを押してからカシャッと鳴って写真が記録されるまでのタイムラグが2秒以上あり、狙った瞬間を撮ることは不可能です。当然ながら連写はできません。
そのように撮影時はストレスがたまったPaperShootですが、撮影した写真をPCで開くと予想外にマトモな仕上がりで、しかも味があると感じました。色あいや描写がデジタルくさくなく、精細感に欠けた仕上がりもあって、どこかフィルム写真の雰囲気を感じさせます。
別売アクセサリーで、レンズ部に装着するマクロレンズや広角レンズなども用意します。いずれも磁石でレンズ部にくっついて簡単に装着できるのがポイントですが、広角レンズはレンズの中心部から少しでもずれると写真が大きくケラレてしまいます。使いこなしはちょっと難しいかな…と感じました。
お金をかけずにフィルムカメラのような撮影が楽しめる
PaperShootの価格は、厚紙製のジャケット1枚が付属する標準モデルが14,600円と、そこそこ手ごろな価格に収まっています。撮影した写真がその場では見られないのは最初はとても不便に感じましたが、しばらくすると「どんな感じで撮れたか楽しみ」というフィルムのようなワクワク感も感じさせました。フィルムカメラ感覚の撮影が楽しめるのに、フィルムカメラよりも圧倒的に低コストで済む、という点がPaperShootの魅力だと感じました。
欲を言えば、本体をもうひとまわり小さいクレジットカード大のサイズに仕上げ、より携帯性を高めてほしかったところ。この点は、今後の展開に期待したいと思います。