米Microsoftと米OpenAIは1月23日(現地時間)、AI(人工知能)を民主化するというビジョンの実現を目指したパートナーシップの拡大を発表した。MicrosoftはOpenAIに今後数年で数十億ドルを投資する。

OpenAIは、2015年にサム・アルトマン氏(Y Combinatorの前プレジデント)、イリヤ・スツケヴェル氏(元Googleリサーチサイエンティスト)、イーロン・マスク氏(Tesla、SpaceX、TwitterのCEO)らによって設立されたAI新興企業だ。昨年に画像生成AI「DALL-E2」、対話型AI「ChatGPT」の提供を開始。自然な言葉による指示や対話からAIが生成する質の高いコンテンツが話題になり、中でもChatGPTはGoogleが大きなシェアを占める今日のインターネット検索に代わる情報収集の方法になる可能性が指摘されている。

Microsoftは2019年に10億ドルをOpenAIに投資し、2021年に「Power Apps」(カスタムアプリ構築を支援するツール)やGitHubのCopilot(AIを用いたコードのオートコンプリート機能)にOpenAIのテクノロジーを統合。今回がパートナーシップ展開の第3弾になる。

追加出資について発表では「数十億ドル」としているのみで、新たな投資額については明らかにしていない。1月9日にSemaforが、Microsoftは最大100億ドルで交渉を進めていると報じていた。AI研究のための非営利の研究機関として始まったOpenAIは、AIモデルの訓練に必要なコンピューティング能力を得るために営利企業へと移行し、そのため利益上限付き(capped-profit)企業として活動している。OpenAIによると、新たな投資を得てもその体制は変わらない。Semaforによると、Microsoftは初期投資を回収するまで利益の75%を手にする。しかし、投資リスクや将来の投資利益以上に、MicrosoftはOpenAIと共にAI技術を開発できることを重視しており、「それによってMicrosoftは今後10年間で最も重要なコンシューマ技術になり得るものの最前線に立つことができる」とSemaforは指摘している。

16日にMicrosoftはクラウド基盤AzureでOpenAIの技術を使えるようにするサービス「Azure OpenAI Service」の一般提供を開始した。OpenAIの言語モデル「GPT-3.5」をチューニングし、Azure AIインフラ上で学習・推論を行うChatGPTがAzure OpenAI Serviceを通じて近日中に利用可能になる予定だ。

パートナーシップの拡大を通じて、MicrosoftはOpenAIのAI研究を加速させることに特化したスーパーコンピューティング・システムの開発と展開への投資をさらに増やし、独占クラウドプロバイダーとして研究、製品、APIサービスにわたるOpenAIの全てのワークロードを支える。