ソニーのミラーレスカメラ「α7 III」を仕事やプライベートで使っている筆者は、最近あることに悩まされていました。レンズを交換したときにフルサイズセンサーに着いた「ゴミやホコリ(の陰)が写真に写り込む」問題です。

  • ソニーのミラーレスカメラ「α7 III」(センサー清掃後のもの)

広角で撮った風景写真ではあまり気になりませんが、よく晴れた青空のような単一色が多めの構図では、センサー汚れが黒くポツポツとシミのようなかたちで、分かりやすく出てきてしまいます。望遠寄りで絞り込み、白背景で撮った製品写真では特に目立つのが困りもの。センサー汚れは百害あって一利なし、です。

  • iPhoneで何気なく撮ってみたα7 IIIのセンサー面。そんなにゴミがついているようには見えないが……

  • 別の角度で、Pixel 6で同じセンサー面を撮ってみると、夜空の星のごとく白いゴミが散らばっているのが見える

  • 分かりやすいようにゴミのある場所を赤丸で囲ってみた

写真に写り込んだこういう黒いシミはレタッチで消せますが、そのぶん仕事の手間が増えますし、気力も下がってきます。カメラのセンサークリーニング機能や、手持ちのブロワーである程度ゴミは落とせますが、年単位で使っているとなかなかとれない微細なゴミが着いたりすることも。

こうしたセンサー汚れの解決方法としては、メーカーのサービスセンターを利用するのが一番。編集記者という仕事柄、長期間カメラが使えないのは困るので、できれば即日やってもらえるのが一番ありがたいです。腕に自身がある人は、自分でセンサーまわりも含めてメンテナンスしてしまうこともあると思います。でも筆者はメンテに関しては素人ですし、センサーを壊すとあとあと大変なのでやめておきました。

  • センサーが汚れた状態で撮った写真の一部(ゴミが目立つように、ここでは画像加工済み)。白背景ではゴミの陰が映り込み、目立ってしまっている

  • 被写体についたゴミと違い、センサー面のゴミの陰はほとんど同じ場所に現れる。撮影条件が近ければ再現度100%なのが難点

  • わずかなゴミでも、背景次第ではぼんやり黒いシミが見える

ソニーの場合、東京・秋葉原など全国3カ所にサービスステーションを設けていて、カメラの「清掃・点検サービス」を提供しています。クリーニングがメインの「ベーシックコース」の料金は3,300円(税込)。自社製品のプロにメンテナンスしてもらえるので、個人的には十分納得できるお値段だと感じます。

ただ、以前寄ろうとしたときは(時期的な影響もあって)予約待ちでいっぱいだったため、今でもその印象が強く、「待たされるのはちょっとなぁ」と敬遠してしまいました。他に純正かつスピーディーにクリーニングしてもらえるサービスはないか……と探していて見つけたのが、αオーナー向けのカメラ製品全般をサポートしてくれる「αあんしんプログラム」の会員向けに、ソニーストア直営店舗で実施されている「清掃・点検サービス」です。

プラン名もサービス内容もサービスステーションで提供されているものとほぼ変わらないようですが、αあんしんプログラム会員であれば、通常価格の最大50%オフで申し込み可能。さらに会員限定で、ソニーストア直営店舗店頭にて「ベーシックコース」と「ライトコース」の即日対応日を設けています。

同プログラムは入会金に加えて月額550円(税込)がかかり、年間6,600円の支出となる計算ですが、上記の清掃・点検サービス割引に加えて「純正レンズ長期保証の割引」、「ストアでの下取/買取金額が5%増額」、「年1回3,000円分のお買い物券プレゼント」といった優待が受けられます。ソニー製品をよく使う筆者にとってはありがたいプログラムです。

αあんしんプログラムは通常の入会金が3,300円するのですが、筆者が見つけたとき(執筆時点)はたまたま、入会金が110円になるキャンペーンをやっていたのでかなりおトクに加入できました。今回のセンサークリーニングに関していえば、サービスステーションにそのまま持ち込んでいれば3,300円かかったところ、αあんしんプログラム入会金110円と、クリーニン代1,650円(会員優待の50%オフ適用後価格)をあわせて1,760円で済んでしまうわけです。

  • 執筆時点では、αあんしんプログラムの入会金が110円になるキャンペーンを実施していた。キャンペーン終了時期は明記されていない

即日対応とはいえ、Webサイトからソニーストア直営店の空いている時間枠を見つけて事前予約する必要はありますが、「これは素晴らしい!」ということでさっそく申し込み、翌日の夕方にカメラを「ソニーストア銀座」に持ち込みました(なお先着順のため、土日は割と早くから予約が埋まってしまう模様です)。

  • 「ソニーストア銀座」が入っているGINZA PLACE

実際のサービス内容もとても満足のいくものでした。ソニーストア銀座の場合は、ビル4階にあるαプラザに足を運び、カメラの清掃・点検サービスに申し込んでいる旨を係員に伝えれば、すぐにカウンターまで案内されます。必要書類への記入を行ってカメラを渡すと、担当者から「90分以内にサービス完了する」旨が伝えられました。

実は、前出の「ベーシックコース」と「ライトコース」は、どちらもカメラボディ1台+レンズ1本の清掃がサービスに含まれます(ライトコースでは、ベーシックコースのサービスに加えて、各部機能点検も行ってくれる)。筆者の場合は今回、クリーニングしてほしいのはカメラボディのみ(装着レンズが社外品)だったので、その分所要時間が短くなったようで、受付から45分ほどで担当者からクリーニングが完了した旨の電話連絡をもらえました。

  • 清掃・点検サービスの「ベーシックコース」と「ライトコース」の違い

面白かったのが、クリーニング完了後の機材引き渡し時のことです。再び店頭のカウンターに赴くと、清掃が終わったクリアなセンサー面の様子を、ユーザーが自ら目視でチェックできるだけでなく、清掃前と清掃後の様子を白背景を使って実機で撮り、プリントアウトしたものを担当者が見せてくれたのです。

そこには清掃前の、見覚えのある黒いシミが点々と映り込んだ写真と、清掃後のチリひとつ映り込んでいない真っ白な写真が並んで印刷されていました。センサー汚れがきっちり掃除されて取り除かれていることがひと目で分かる、良い対応だと思いました。

キレイになったカメラを抱えて自宅に戻り、実際にいくつかテストショットをしてみましたが、以前のようなセンサー汚れによる黒いシミはもちろん出てこなくなりました。映り込むゴミを避けて写真の構図を決めたり、ゴミ取りのレタッチ作業をしたりといった面倒な手間がかからなくなって、大変満足しています。

行楽シーズンには、カメラを携えて旅行している人を数多く見かけます。旅先で良い写真を撮りたい人や、ホコリが舞うところでレンズ交換をしてうっかりセンサーを汚してしまった人、絶対に失敗できない大切な撮影を控えているというαユーザーはぜひ、ソニー純正の清掃・点検サービスを選択肢に入れてみてください。