竹取物語の英語版Wikipediaに、かぐや姫が地球に来た理由が「月面戦争が起きており、安全を確保するため」と説明されており、ネットで話題になっている。しかし話題となったためか、現在では「根拠なし」として該当部分が削除されてしまっている。

  • 竹取物語の英語版Wiki曰く、かぐや姫が地球にきた理由は「月面戦争」からの避難

    月面戦争が勃発。かぐや姫は安全を確保するために地球に送られたらしい。しかし月はどこと宇宙戦争していたんだろう? 木星帝国あたりか? ともかく、なんともSFチック

竹取物語は、平安時代の初期に成立し、現存する日本最古とされる物語。竹取の翁が竹の中から小さな女の子を見つけ、育てるところから始まる。その女の子は、すぐに美しい女性へと成長したことで「なよ竹のかぐや姫」と名付けられる。その噂を聞きつけて、求婚者が続出。特に熱心に求婚し、諦めなかった5人の貴公子に難題を出題する。要求に応えようと貴公子たちは奮闘するが結局失敗。さらに、帝がかぐや姫を求めて勅使を遣わすが、応えることはなかった。最後に、帝に不死の薬と手紙を残して、八月十五夜、天人に迎えられて月の世界へ帰るという内容となっている。

英語版のWikipediaを確認してみたところ「she was sent to Earth for her safety during a celestial war」という記述がある。これを日本語訳すると「かぐや姫は、月面戦争の間、安全を確保するために地球に送られた」となる。諸説あるうちの一つのバージョンとして書かれていたが、現在では根拠なしとして修正されている。元のあらすじは、かぐや姫が罪を犯した罰として地球に送り込まれたというものなのだが、なんともSF感のある解釈になっている。

なぜこんな解釈になったのかは不明だが、竹取物語の英語版Wikipediaの関連項目を見てみると、1987年に上映された市川崑監督の「竹取物語」や、アニメの「ターンエーガンダム」などもあったりするので、もしかすると、日本のポップカルチャーの文脈が混ざって伝わってしまったのかもしれない。ちなみに市川崑監督の「竹取物語」は、かぐや姫の正体が宇宙人であるという設定で、太政大納言や全長100mの首長竜との戦いのほか、ラストシーンでは蓮の花の形をした巨大宇宙船で月の迎えが来る。

なお、こういった興味深い記述は英語版Wikipediaだけでなく、フランス語版ドイツ語版のWikipediaでも確認することができる。フランス語版とドイツ語版はともに、かぐや姫が地球に現れた理由に関して諸説あるとした上で、やはり月面戦争が勃発し、その戦争からかぐや姫の安全を確保するために地球に送られたバージョンの記載がある。このほか、帝に渡す不死の薬が、フランス語版だとエリクサーとなっていたり、ドイツ語版だと不死のポーションになっていたりするので、細かく見てみると色々と新鮮で面白い。

ネット上では「∀ガンダムかな?」「それはそれで面白そう」「Wikipediaほんとなんでもありだな……」などの声が寄せられた。