理化学研究所・早稲田大学・シンガポール南洋理工大学の国際共同研究グループが、生きた昆虫に、太陽光で充電可能な電子機器を搭載し、行動を制御する「サイボーグ昆虫」を開発したことを9月5日に発表した。都市型捜索救助や危険地域の調査などの活動に期待できるとのことだ。
「サイボーグ昆虫」は、昆虫の体に電子部分を繋ぎ、昆虫の動きを制御するというもので、世界的に研究が進められている。しかし、行動を制御する装置を動かすための十分な電力を供給するには、大きな装置が必要となる。そうすると、昆虫の運動を妨げてしまうという課題があった。
本研究では、体長約6センチのマダガスカルゴキブリを使用し、その背中部分に電子基板を搭載する「サイボーグ昆虫」を作成。背中に載せる電子基板を安定させるために、マダガスカルゴキブリの背中にフィットする柔らかい素材で、電子基板を載せる台を3Dプリンタで作成している。
また、厚さ4マイクロメートルの超薄型有機太陽電池モジュールを腹部背面に取り付けた。ただしそのまま取り付けると、障害物を乗り越える際の妨げになる。そこで、接着する面と、接着しない面を交互に配置する「飛び石構造」を採用したすることで、課題であった運動性を確保している。
実験では、右方向へ移動するよう電気信号を入力。するとマダガスカルゴキブリは右方向へ進路を変更した。複数回実行し、繰り返し行動制御に成功したとのことだ。
ネット上では、災害救助にも役立つという技術進歩に好意的な声があがった一方、「虫なら何してもいいん?」「見ていてあまり気持ちのいいものではないけど、僕ら肉も魚も食べてるわけだからなあ。」など、賛否両論入り混じった感想も寄せられた。