国立大学法人東京大学大学院工学系研究科・工学部が、「メタバース工学部」を設立すると発表して話題になっている。今回の「メタバース工学部」は正式な学部ではなく、いくつかの教育プログラムなどを総称したもの。

  • 東大が「メタバース工学部」設立 - オープンな学び、工学女子の増加にも意欲

    東京大学が「メタバース工学部」の設立を発表

設立の目的は、「工学や情報の学びの機会や工学キャリアに関する情報を多様な人々に提供すること」という。中高生や社会人を含む幅広い世代に門戸を開いており、年齢やジェンダー、立場、住んでいる場所などに関わらず、全ての人が工学や情報を学べる教育システムを構築するとしている。特に、女子高生をターゲットに、工学や情報の魅力を伝え、DX人材のダイバーシティの推進を加速させるという。

具体的には、メタバース工学部では「工学キャリア総合情報サイト」「ジュニア工学教育プログラム」「リスキリング工学教育プログラム」を提供する。

「工学キャリア総合情報サイト」は、中高生・工学部生が主な対象。キャンパス訪問や疑似入社の体験談など、当事者目線でのリアルな情報を提供するサイトとなる。ロールモデルの少ない女性工学キャリアに関する情報提供を行うことで、工学分野のダイバーシティ推進を加速させる狙いがある。

「ジュニア工学教育プログラム」は、中高生・保護者が主な対象。大学での工学の学びや、卒業後のキャリアを伝える授業、商品開発のような体験型演習、研究室見学などをオンラインと対面を組み合わせて実施する。このプログラムでは、早い段階から工学や情報について学ぶことが可能という。

「リスキリング(技術革新やビジネスモデルの変化に対応するために、新しい知識やスキルを学ぶこと)工学教育プログラム」は、社会人・学生が主な対象。社会人や学生の学び直しなどを支援するもので、人工知能や起業家教育、次世代通信などの最新の工学や情報をオンラインで学ぶことができる。このプログラムでは、受講生のレベルに合わせた様々なコースが用意されており、科目毎に修了証が発行されるそうだ。同プログラムは2022年度の後期からスタートする。

テクノロジー分野で近年、脚光を浴びるキーワードにもなっている「メタバース」を冠した名称と、先端技術にキャッチアップした教育がまずは耳目を集めるだろうが、オンラインも組み合わせた、大学によるオープンな学びの場の提供であることも肝要だろう。なおメタバース工学部では、産学で緊密に連携して活動する方針としており、設立にあわせて、主旨に賛同する法人会員の募集も開始している。