パナソニックは、より高機能な美容家電製品をラインナップする「高機能アドバンスドライン」を発表。第1弾として7月1日に、「フォト ブライトショット」と「バイタリフト かっさ」を発売します。
これまでの美容家電に比べると高価格帯になりますが、果たして従来のベーシックラインと何が違うのか、そして今後のパナソニック・ビューティの事業展開について、パナソニック くらしアプライアンス社の林眞一氏と光安優花氏に話を聞きました。
年々高まるグローバルの美容家電市場に本腰
―― パナソニックは今年(2022年)4月に体制を一新して、くらしアプライアンス社としては「キッチン空間事業部」「ビューティ・パーソナル事業部」「ランドリー・クリーナー事業部」の3本柱で家電事業を展開すると発表されました。美容家電が属する「ビューティ・パーソナル事業部」はどのような位置付けになりますか。
林氏:3本柱の中でも中核になると考えています。美容家電はコロナ禍の前から、中国や欧州、アメリカなどグローバルに展開しており、中長期的な事業成長のドライバー的役割を担っています。そのほかの白物家電はある程度普及しているため、急成長するジャンルではありませんが、美容家電はグローバルに見ても、大きく成長する可能性があります。
―― そんな中での高機能アドバンスドラインということになりますが、改めて「アドバンスドライン」ではどのような製品群を扱うのか教えてください。
光安氏:近年はエイジングに対する美容意識が高まっており、美容クリニックで本格ケアをする人が増えてきました。さらに、コロナ禍のマスク生活で新たな美容のお悩みが増え、従来のケアよりも高い効果を求める声も高まっています。
そういった方々のニーズにお応えし、従来のベーシックラインより高い効果が期待できる製品群がアドバンスドラインです。美容皮膚科医の監修のもと、次に美容クリニックへ行くまでの間にもケアを続けたい、自宅でセルフケアの効果を高めたい、といった美容イノベーターの方々にも満足いただける機能を備えています。
―― やはりコロナ禍の前後で、美容意識は大きく変わったのでしょうか。
林氏:間違いなく変わりましたね。まずコロナ禍による外出自粛が始まってから、素肌を整えたいというニーズが高まり、スチーマーなどベースケア美顔器を多くお手に取っていただきました。マスク生活で表情筋が緩んだり、肌荒れが気になったりする人が増えたことが一因です。
光安氏:オンライン会議が普及したことも要因のひとつですね。モニターで自分の顔をじっくりと見るようになり、今まで気づかなかったことに気づくようになってしまったと言いますか……。男性美容の需要が伸びたのは、そこが大きいと思います。
林氏:コロナ禍では価値観の変化もあったようです。実際のアンケートでも、コロナ前より時間やお金を使うようになったものとして、「食事」「スキンケア」「睡眠」などが上位に来ています。「ワンランク上のスキンケアを使うようになった」「素肌がキレイなほうが良いと思い始めた」「体の内側から健康になろうという気持ちが強くなった」という声も聞かれます。外を着飾るのではなく、内側からキレイに、健康になりたいという意識が高まっているようです。
第1弾は3年間温めた光技術とコロナ禍で需要高まるEMS
―― アドバンスドラインの第1弾として、「フォト ブライトショット」と「バイタリフト かっさ」を選ばれた理由は?
林氏:「フォト ブライトショット」は約3年間かけて開発してきた自信作です。高い先進技術が搭載されていますので、まずはこれを最初に出したいという思いがありました。この高出力赤色LEDとIPLを組み合わせた美顔器の製品化は、パナソニックが初となります。もうひとつの「バイタリフト かっさ」は、かっさ形状の美顔器にEMSを搭載することで、滑らせながら表情筋をトレーニングできるもので、コロナ禍の表情筋悩みに応える製品です。
―― パナソニックは意外にも、EMSを搭載した美顔器がなかったですよね。
林氏:はい、今までEMSを搭載した美顔器がなく、このコロナ禍において表情筋悩みに対するソリューションが抜け落ちているのは大きな問題でした。ただ技術的な研究は長く続けてきており、もともと「温感かっさ」もありましたので、このかっさにEMSを搭載することにしたわけです。かっさ形状は表情筋にフィットしやすく、EMS刺激もピンポイントに当てられるため、表情筋ケアに適しているんですよ。
―― EMSは持続性はともかく、その場で違いが感じられるのでやりがいがありますよね。
光安氏:美容はコツコツ続けることが大事ですし、私たちも一時的な効果だけでなく、素肌力そのものが上がるような美容家電を提供したいと思っています。ただやはり即効性を期待する声も大きいですね。「バイタリフト かっさ」は、その場で表情筋の引き上げ感を実感しつつ、続けることでかっさ本来の美容効果も感じていただけると思います。
痛みなく、しっかり効果を出すことに注力
―― 「フォト ブライトショット」は、高出力LEDとIPLという2種類の光を組み合わせたとのことですが、組み合わせると何がいいんでしょうか。
光安氏:IPLはもともと光美容器(光脱毛器)にも用いられている光で、美肌にも効果があることから、以前から美肌効果をうたっています。ただし刺激も強いため、顔に当てると痛みを感じる場合があり、「痛みが怖くて使えない」ということになりかねません。
でも美顔器は快適に使い続けられることが大切ですから、このIPLから痛みを感じる波長をカットして、そのぶん高出力赤色LEDを追加搭載したんです。こちらは有効なエネルギーを均一に肌へ届けるため、IPLとあわせてることで美肌に効果のある光をまんべんなく肌に当てられるようになりました。
林氏:この「高出力」というのがポイントです。LEDを採用した美顔器はたくさんありますが、きちんと肌に届かないと意味がありません。「フォト ブライトショット」を手の甲に当てて照射すると、光が中まで通って静脈が見えます。製品によっては肌の内部まで見えないものも多く、LEDといってもただ光っているだけのものもあるんです。もちろん「フォト ブライトショット」は輝度の高さもしっかり数値で確認しています。
―― 私も数々のLED美顔器を試しましたが、使用感も変化も実感できず、確かに光っているだけ? と思うものも多いですね(笑)。
林氏:LEDの波長についても、研究に時間がかかったところですね。LEDは色、つまり波長によって得られる効果が異なりますが、お肌に透明感が出てキメが整い、ハリのアップが期待できる光の波長が、今回採用した約630nmでした。美容皮膚科医に監修をお願いして検証を重ねて得られた数字で、エビデンスもしっかり取っています。
―― 改めて「フォト ブライトショット」の効果を教えてください。
光安氏:歳を重ねるとターンオーバー(編注:肌が定期的に新しくなること)のサイクルが乱れがちになるほか、マスクの長時間着用によっても、くすみの原因となる古い角質が堆積しやすくなります。そこに高出力フォトを照射すると古い角質が取れやすくなり、透明感のある肌に導くのがフォト ブライトショットです。
誇張表現はせず、実力で勝負
―― 「古い角質を取る」というと、中には「ピーリングとどう違うの?」と思う人もいると思うのですが、実際はほかにも得られる効果はたくさんありますよね。
光安氏:先ほども波長の話で触れましたが、IPLやLEDは一般的に、お肌のハリがアップ、キメが整う、毛穴が目立ちにくくなる、といった総合的な美肌効果が期待できます。そのあたりは具体的に訴求していきたいと思っています。
林氏:もっと効果効能について言及できることもあると思いますが、私たちは薬機法(*)に基づき、誇張表現はせずに、ミニマムな表現で確かな効果を提供していきたいと思っています。特に美顔器のような製品は効果に個人差がありますので、あまり大きな表現すると、かえって積み重ねた信頼が揺らいでしまいますから。
ひとつ言えることは、パナソニックには美容家電市場に参入して52年という実績があり、技術はトップクラス。そのあたりは期待していただきたいですね。
*:薬機法
医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律
―― その効果は、私も実際に使って体感してみたいと思います! 改めてアドバンスドラインのターゲット層を教えてください。
光安氏:今回の2製品(フォト ブライトショット、バイタリフト かっさ)はエイジングケア(※)美顔器ですが、ターゲット層は年齢を問わず、美容にお金と時間をかけたい人です。コロナ禍の昨年(2021年)、美容クリニックに1回でも行ったことがある人は、40代が11.3%であるのに対し、20代は20.0%ともっとも高くなっています。アドバンスドラインは高価格帯になりますが、そのぶん高機能ですので、より確かな効果を求めたい人におすすめしたいです。
※エイジングケア:年齢に応じた肌ケアのこと
―― 今回は第1弾ということですが、今後も続々と登場するのでしょうか。
林氏:はい、第2弾、第3弾と控えています。パナソニックはRF(高周波)やイオンなどさまざまな美容技術の研究を重ねていますが、まだ製品化していないものがたくさんあります。たとえば複数の機能を組み合わせたマルチタイプなど、今までにない美顔器の製品化にも着手していますので楽しみにしていてください。
―― これは目が離せませんね。楽しみにしています!