これまでのスマートウォッチといえば、スマートフォンのアシスト役という位置付け。最近ではセルラー回線に直接つながり自律的に機能する製品もありますが、それってスマホとカブッてない? という気もします。複雑な作業や高い演算性能が求められることはスマホで行い、手首周辺で済ませたいことだけをスマートウォッチに任せたほうが合理的ではないでしょうか。

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    SOUNDPEATSのスマートウォッチ「Watch 2」

2021年11月に発売された「Watch 2」(4,580円)は、高コスパな完全ワイヤレスイヤホンで知られるSOUNDPEATSのスマートウォッチで、以前レビューしたWatch 1」(2020年発売)の後継機種です。どこが進化したのか、コスパはどうなのか。じっくり検証してみました。

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    円形の1.28型TFT液晶を採用

スマートウォッチのエントリー機に期待すること

近頃のスマートウォッチは、「機能満載のハイエンド系」と「機能限定のコスパ系」の2系統にざっくり分けられます。前者はWear OSやwatchOSを採用し、セルラー回線やFeliCaなど充実の通信機能を備えて2万円以上、後者は独自OSに各種センサーを搭載し多彩な健康管理機能を備えつつも1万円以下、というところでしょうか。

高級機とエントリー機に二極化していると見ることもできますが、こと「健康管理」に限っていえば、両者に大きな機能差は感じられません。大半の製品が心拍数や歩数/移動距離の測定は言うまでもなく、水泳やサイクリングなど各種アクティビティに対応した記録機能も備えています。

今回取り上げる「Watch 2」は、その二極化したうちの後者、エントリーレベルに分類されるスマートウォッチです。ただし健康管理に関しては機能充実、前述したような心拍数や歩数/移動距離の測定はもちろんのこと、昨今注目を集めている血中酸素濃度(血中酸素飽和度、SpO2とも呼ばれる)の測定機能も備えています。

※編注:Watch 2は健康増進を目的とした製品で、医療機器として設計していないため、血中酸素濃度測定機能を含め、診断・治療・予防など医療目的では利用できません。

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    「血中酸素飽和度」をタップすると、血中酸素濃度を簡易的に測定できる

SpO2測定は使えるか? 息を止めて測ってみた

血中酸素濃度の測定は、息を止めるというオーソドックス(?)な方法で試してみました。平常時の血中酸素濃度は96〜99%前後とされるところ、肺機能に問題が起きるとそれが90%台前半まで低下、とにかく呼吸が苦しくつねに溺れているような感じになるのだそう。息を止めれば疑似的に血中酸素濃度を下げて測定できるのでは……という理屈です。

Watch 2の血中酸素濃度測定機能は、画面を上方向へフリックすると現れる機能(アプリ)選択画面で「血中酸素飽和度」をタップすると開始できます。画面の指示どおり、肌(手首)に密着させ上向きにした状態で「測定開始」をタップすればOK。約25秒ほどで血中酸素濃度が表示されます。

着座して呼吸が落ち着いているときに3回測定したところ、1回目は96%、2回目は95%、3回目は96%と安定した数値が。念のためApple Watch Series 6の「血中酸素ウェルネス」で測定したところ、結果はほぼ変わらず1回目は95%、2回目は97%、3回目は96%。ほぼ同等に機能しているようです。

次に、息苦しい状態を作り上げてからのテスト。10秒間息を止め3秒呼吸することを3回繰り返すと、かなり息苦しくなるので、10秒息を止めそのまま血中酸素濃度を測定してみました。結果は1回目が91%、2回目が93%、3回目が89%。バラつきはあるものの、酸素がじゅうぶんでないことが数値からうかがえます。

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    しばらく息を止めたあとで測定したところ、血中酸素濃度は93%に低下していた

Apple Watchの「血中酸素ウェルネス」と比較すると、測定終了のタイミングが分かりにくい(血中酸素ウェルネスは残り秒数を表示してくれる)、前回の測定結果を表示してくれないなどアプリとしての洗練度合いに差はあったものの、血中酸素濃度を測るという目的はじゅうぶん果たしてくれます。

特定保守管理医療機器としての承認を受けているわけではなく、あくまで簡易的ではありますが、体調管理のために“手もとにあっていい”機能といえそうです。

マップサービスの変更で実用的になった運動記録機能

スマートウォッチに期待する機能の筆頭格といえば、運動データを計測・記録する「フィットネストラッキング」。運動時間と歩数・距離の記録は当たり前、ウォーキングやランニングなど複数の運動モードをサポートし、ランニングであればどこをどのように走ったかの情報まで記録する機能が求められます。

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    管理用のアプリ「SOUNDPEATS LIFE」(画像はiOS版)

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    30分ほどウォーキングしたときのログ。歩数や距離はもちろん、心拍数の変化も分かる

その点、Watch 2は初代のWatch 1と比べて大幅に改良されています。Watch 1のとき連携していたマップサービス(アリババグループが運営する「高徳地図」)は、日本国内の地図精度に難がありましたが、Watch 2では「Appleマップ」(iPhone)と「Googleマップ」(Android)に変更。精度が格段に上がっています。

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    アプリ内のマップを見ると、iOS版はAppleマップを使っていることが分かる

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    Android版では、Googleマップを使っている

記録されるデータは、ランニングの場合で歩数と運動時間、目標歩数、心拍数、そしてGPSデータ。トラッキングデータを振り返るときには、歩数や平均心拍数をもとに算出されたカロリーやスピードも併せて表示されます。

データはクラウドに転送されるため、2台以上のスマートフォンで利用してもOK。運動するときはペアリングしたiPhone、自宅でデータを振り返るときはペアリングしていないAndroid、といった使いかたも可能です。

睡眠測定もしっかり機能。心拍数を常時測定しているからか、記録されているデータを振り返ったとき、入眠と起床の時刻が自分の記憶とほぼ一致します。レム/ノンレム睡眠の判定も、自分の睡眠パターン(寝付きが早く朝まで熟睡)と符合するため違和感がありません。

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    装着したまま就寝すれば、睡眠の質を振り返ることができる

パワーアップした“ジェネリック・スマートウォッチ”

約2カ月にわたりWatch 2を試用しましたが、スマートウォッチとしての基本機能には不満なし。手首に巻きつけておくだけで歩数と歩行距離、心拍数、睡眠時間といった基本データが日々蓄積されるので、健康管理目的にはじゅうぶん役立ちます。

初代Watch 1で刮目したバッテリーのもちのよさも健在でした。Watch 1では、満充電から3日を経過してもバッテリー残量は45%というエナジーセーバーぶりに驚いたものですが、Watch 2でもそのれは変わらず。デフォルトの状態のまま利用したところ、バッテリーの減少ペースは1日約20%、5日間以上充電なしで連続動作しました。通知転送や心拍センサーといった機能を使いつつ充電の心配なしにウイークデイを過ごせるのは、なんとも気楽なものです。

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    Watch 2に用意されているウォッチフェイス(文字盤)のデザインは60種。もう少しスタイリッシュなものが欲しい

IP68の防塵防水設計だから、朝の洗顔も晩の入浴もWatch 2を装着したまま過ごすようになりました。山奥へデイキャンプへ出かけたときには、Watch 2をじゃぶじゃぶ水洗いする始末。2〜3万円のスマートウォッチでは気後れしてしまい、このような使いかたはできません。

用意されている文字盤デザイン(約60種)がいまひとつイケていない、アプリの日本語訳がところどころおかしいなど気になる部分はあるものの、いざというときには血中酸素濃度を(参考程度に)確認でき、なによりAmazon.co.jpで4,580円で買えるという圧倒的なコスパ感。バッテリーのもちも良好、存分に使い倒せる“ジェネリック・スマートウォッチ”です。

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    IP68の防塵防水設計なので、水場で使用しても問題なし。お手ごろ価格なこともあり、存分に使い倒せる