フィッシング対策協議会(Council of Anti-Phishing Japan)は12月3日、「フィッシング対策協議会 Council of Anti-Phishing Japan|報告書類|月次報告書|2021/11 フィッシング報告状況」において、2021年11月に同協議会に寄せられたフィッシング報告の状況を公表した。2021年11月のフィッシング報告は48,461件で、10月と比べると279件減少した。2021年8月に53,177件を記録して以来、微減傾向にあるが、2020年の同時期に比べれば依然として多く、引き続き注意が必要だ。

  • 2020年12月から2021年11月までにフィッシング対策協議会に寄せられたフィッシング報告件数の推移 - 引用:フィッシング対策協議会

    2020年12月から2021年11月までにフィッシング対策協議会に寄せられたフィッシング報告件数の推移  引用:フィッシング対策協議会

報告によると、フィッシングに悪用されたブランドのトップはAmazonで全体の約28.5%で、これまでと同様に他のブランドを大きく引き離している。2位以降は、メルカリ、三井住友カード、楽天、ETC利用照会サービスと続いており、前月とほとんど変わっていない。1000件以上の報告を受けたブランドが9つあり、この上位9ブランドで全体の約79.2%を占めていたという。

フィッシングに悪用されたブランドは全部で82ブランドあり、前月に引き続いてクレジットカードのブランドをかたるフィッシングが多数を占めたとのことだ。その他、メールアカウントや管理アカウントの認証情報(IDやパスワード)の窃取が目的と思われるフィッシングや、モバイルキャリアを騙ってフィッシングサイトへ誘導するSMSの報告が増えたことも指摘されている。

ここ数カ月のレポートでは、送信元メールアドレスに正規サービスのドメインを使用した「なりすまし」フィッシングメールが多いことが指摘されてきたが、11月も同様に多数の報告を受領したとのこと。現在、日本で主に導入されているフィッシング対策は送信元を判断基準に使うSPF(Sender Policy Framework)だが、これだけでは対策として不十分であるため、より強固ななりすまし対策を実現するDMARC(Domain-based Message Authentication, Reporting, and Conformance)と呼ばれる認証プロトコルに対応した対策を導入することが推奨されている。

利用者側としては、普段使っているサービスを利用する際は、メールのリンクをクリックするのではなく正規のアプリやブックマークした正規のURLからサービスにログインするなど、日頃から十分に注意した行動を取る必要がある。特にクレジットカード情報や携帯電話番号、認証コード、口座情報、ワンタイムパスワードなどの入力が求められるような場合は、入力する前にフィッシングでないかどうかをもう一度確認するように、フィッシング対策協議会では呼びかけている。

フィッシング詐欺に使われているWebサイトは正式なWebサイトの内容をコピーして作成されたものと見られ、一見しただけで判別することが難しいため注意が必要。真偽の確認を行うには、メールやメッセージに含まれているリンクからたどるのではなく、公式アプリやWebブラウザに登録したブックマークなどからアクセスするなどの操作を行い、確認を行うことが望まれる。