総務省は11月26日、NTTドコモに対し、10月14日に発生した大規模な通信障害に関して同様の事故が再発しないよう厳重に注意するとともに、事前準備の徹底、社内外の連携体制の改善、利用者への周知内容等の改善および通信業界全体での教訓の共有等を図るよう、文書で指導した。

  • 10月14日の事故の概要

    10月14日の事故の概要(11月10日の記者会見より)

この事故については、11月10日に電気通信事業法に基づきNTTドコモから総務省へ当該障害に関する重大な事故報告書を提出していた。総務省はこの報告書の内容を精査し、この事故の社会的影響が極めて大きいことから、同様の事故が再発しないよう十分な措置を講ずる必要があるとし、今回の厳重注意・指導に至ったもの。

指導の文書は総務省総合通信基盤局長名で出されており、同様の事故が発生しないよう厳重に注意するとともに、次のような事項を確実に実施するよう求めている。

  • 今回のようなIoTサービスに関する位置情報サーバの旧設備から新設備への切替工事を再度実施する際、旧設備で提供されているサービスが新設備で正常に動作することの確認、切替工事の業務委託先との間で作成される切り戻しの作業手順の確認を相互に十分に行うなど、事前の準備を徹底すること
  • 電気通信設備の切替工事を実施する際には、新旧設備の仕様、不具合発生時のサービスへの影響に関する事前評価を実施し、事前の準備を徹底すること
  • 電気通信設備/ソフトウェアについて製造、開発または販売を行うベンダーとの間での仕様の確認や、切替工事の業務委託先等との間での作業手順確認など、社外関係者との連携を徹底すること
  • 決済・物流・輸送・物品管理などのサービスを提供するIoTサービスと音声伝送の通信を個別に規制するなど、通信の輻輳や事故の発生時に相互に与える影響を最小減とする措置をとること
  • 事故発生時においては障害の状況/緊急通報への影響やその代替手段/復旧の見通しなど、事故からの復旧時においては輻輳の影響により利用しづらい状態が継続することなど、利用者が必要とする情報を適時にできるだけ具体的に分かりやすく提供するよう工夫し、利用者への周知の内容および方法の改善を図ること
  • 同様の事故の再発防止のため、本件事故の発生原因、措置状況、再発防止策等の詳細について、他の携帯電話事業者に説明し、情報共有する機会を早急に設けることと、前項に記載された利用者等への周知の内容および方法の改善にかかわる事業者横断的な検討を進めること

これらの実施状況について12月27日までに総務省へ経過および具体的な実施内容を報告し、また切替工事の事前準備と事故発生時の影響を最小減に留めるための措置については位置情報サーバの切替工事を再度実施する前の報告することとしている。