2021年12月1日よりドイツ・ベルリンにて、タクティカルFPSゲーム『VALORANT』の世界大会「2021 VALORANT Champions Tour Champions」(以下、VCT Champions)が開催されます。
初代『VALORANT』世界王者の座をかけた「VCT Champions」には、7つの地域から出場権を勝ち取った全16チームが出場。日本からは「Crazy Raccoon」が出場します。
『VALORANT』の競技シーンは今年、国内配信での同時接続数が最高で22万人を超える(※)など、大きな盛り上がりを見せました。シーズンの集大成となる世界大会「VCT Champions」に向けて、2021年のVCTを振り返っていきましょう。
(※)「VCT Masters Stage3」の国内配信における、YouTube・Twitch・公式ミラー配信の合算値
「VALORANT Champions Tour」とは?
「VALORANT Champions Tour」(VCT)は、Challengers・Masters・Championsの3段階で構成される大会です。地域大会のChallengersと、その勝利チームが出場する国際大会のMastersが年3回(Stage1からStage3まで)行なわれ、シーズンのフィナーレとして世界最高峰の16チームによるトーナメント戦のChampionsが開催されます。
Championsへの出場権は、Stage1からStage3までの成績によって付与されたサーキットポイント上位の11チーム、「VCT Masters Stage3」の優勝チーム、そして各地域のラストチャンス予選(LCQ)を勝ち抜いた4チーム、計16チームが獲得しました。「VCT Champions」を迎えるまでにどのようなストーリーがあったのか、日本チームを中心にStage1から振り返っていきましょう。
【Masters Stage1】「Crazy Raccoon」が絶対王者を下し、歴史が変わった
2021年3月13日から3月21日に、国内大会の「VCT Masters Stage1」が開催されました。新型コロナウイルスの影響により、国際大会ではなく各地域内限定の大会として行われています。
本大会には、「VCT Challengers Stage1」を勝ち上がった8チームが出場し、ダブルエリミネーション形式のトーナメントで試合が実施されました。
トーナメントを勝ち抜き、Bo5(3マップ先取)で行われる決勝でぶつかったのは、「Absolute JUPITER」(現ZETA DIVISION)と「Crazy Raccoon」。視聴者による勝利予想では、国内大会で連覇を続ける「Absolute JUPITER」が圧倒的な支持を集めていました。
しかし、その予想を大きく覆したのは「Crazy Raccoon」。絶対王者「Absolute JUPITER」に対し、なんと「Crazy Raccoon」が3-0でのストレート勝利。見事優勝を勝ち取りました。
「Crazy Raccoon」による圧巻の勝利に、キャスター陣も「歴史が変わった!」と驚嘆。王者の座を守ってきた「Absolute JUPITER」を打ち破るチームがついに現れたことで、国内シーンのさらなるレベル向上にも高い期待が寄せられました。
【Challengers Stage2】連覇達成で実力を証明した「Crazy Raccoon」
2021年4月29日から5月2日には、国内大会「VCT Challengers Stage2」のPlayoffsが開催されました。Playoffsには、予選を勝ち抜いた8チームが出場。ダブルエリミネーション形式のトーナメントで試合が実施されました。
トーナメントのUpper Bracketを勝ち上がったのは「Crazy Raccoon」。そして、Lower Finalで「REJECT」を下した「Absolute JUPITER」が決勝に進出し、Stage1と同じ2チームによる頂上決戦となりました。
Bo5の決勝では、「Crazy Raccoon」が2マップ目まで大差を付けて連取。しかし、3マップ目では「Absolute JUPITER」がオーバータイムを制して勝利します。4マップ目でも、再びオーバータイムに突入する大激戦となりましたが、これを「Crazy Raccoon」が勝ち切り、3-1で優勝を手にしました。
この優勝により「Crazy Raccoon」は、アイスランド・レイキャビクで開催される「VCT Masters Stage2」への出場権を獲得。Stage1からの連覇を果たした「Crazy Raccoon」の選手たちは、勝利インタビューで「まぐれではないと証明できた」と喜びを噛み締めました。
【Masters Stage2】国際大会の洗礼を受けた「Crazy Raccoon」、勝利には一歩及ばず
2021年5月25日から5月31日には、アイスランド・レイキャビクにて国際大会「VCT Masters Stage2」が開催されました。本大会は、オフラインで行われる初めての国際大会となり、各地域の予選を勝ち抜いた10チームが出場。日本からは「Crazy Raccoon」が出場します。
大会はダブルエリミネーション形式のトーナメントで、決勝をのぞいてBo3(2マップ先取)で行われました。「Crazy Raccoon」は、初戦で北米(NA)代表の「Version1」と対戦。2マップともに「Crazy Raccoon」が追い上げる展開となりますが、1マップ目が11-13、2マップ目が10-13と、接戦での敗北となりました。
その後、「Crazy Raccoon」はLower Bracketでの勝利を狙いますが、東南アジア代表の「X10 Esports」に0-2で敗北。残念ながら敗者復活は叶わず、敗退となりました。
なお、本大会で優勝を獲得したのは、NA代表の「Sentinels」。トーナメントを通して1マップも落とすことなく、完全勝利での優勝を飾りました。
【Challengers Stage3】三度相まみえる「Crazy Raccoon」と「ZETA DIVISION」。栄光に輝いたのは?
2021年8月12日から8月15日には、国内大会「VCT Challengers Stage3」のPlayoffsが開催されました。Playoffsには、予選を勝ち抜いた8チームが出場。ダブルエリミネーション形式のトーナメントで試合が実施されました。
本大会では、新進気鋭のチーム「Northeption」が目覚ましい活躍を見せ、Upper Bracketで「ZETA DIVISION」(旧Absolute JUPITER)を下します。しかし、両チームは再び、Lower Finalで激突。ここで意地を見せた「ZETA DIVISION」がリベンジに成功し、決勝へと駒を進めました。
決勝は、Lower Finalで勝利した「ZETA DIVISION」と、Upper Bracketを勝ち進んだ「Crazy Raccoon」が激突。Bo5で優勝をかけて争います。2マップ目までを「ZETA DIVISION」が連取し、優勝に王手をかけますが、続く3マップ目と4マップ目を制したのは「Crazy Raccoon」。お互いに譲らず、運命のマップ5までもつれ込みます。
5マップ目では、拮抗する展開を「ZETA DIVISION」が打開。Lower Finalから約8時間にわたる激闘の末、「ZETA DIVISION」が優勝を勝ち取り、やっと成し遂げた王座奪還に選手たちは安堵の表情を浮かべました。
本大会では、上位2チームの「ZETA DIVISION」と「Crazy Raccoon」が、ドイツ・ベルリンにて行われる「VCT Masters Stage3」への出場権を獲得しました。
【Masters Stage3】日本2チームの健闘に、同接は22万超え
2021年9月10日から9月20日には、ドイツ・ベルリンにて国際大会「VCT Masters Stage3」が開催されました。本大会には、各地域の予選を勝ち抜いた16チームが出場。日本からは、「ZETA DIVISION」と「Crazy Raccoon」が出場しました。
本大会では、4つのグループに振り分けられたグループステージを行い、グループステージを突破した8チームがシングルエリミネーション形式の決勝トーナメントに進出しました。
「ZETA DIVISION」は、初戦でラテンアメリカ代表「KRÜ Esports」と対戦し、日本代表チームとして初めて1マップを獲得しますが、1-2で惜敗。Lowerブロックでブラジル代表「Vivo Keyd」に敗れ、敗退となりました。
「Crazy Raccoon」は、初戦でEMEA代表「Gambit Esports」と戦い、大敗を喫することとなりますが、Lowerブロックではブラジル代表「Haven Liberty」に対し、日本代表チーム初となる勝利を飾ります。続く試合は、「Gambit Esports」とのリベンジマッチに。初戦とは打って変わって大接戦を繰り広げますが、惜しくも勝利には届かず、ベルリンでの挑戦を終えました。
日本代表チームの健闘は大きな注目を集め、日本語配信を行っていたYouTubeとTwitch、公式ミラー配信を合わせて、同時接続数は最高で22万越えを記録。両チームの応援ハッシュタグである「#CRWIN」と「#ZETAWIN」が、Twitter日本トレンド1位になりました。
なお、「Crazy Raccoon」が2度戦った「Gambit Esports」はトーナメントを勝ち進み、「VCT Masters Stage3」の優勝を獲得しています。
【APAC LCQ】「Northeption」がアジア2位獲得の大躍進
2021年10月11日から10月17日には、国際大会「VCT APAC ラストチャンス予選(LCQ)」が開催されました。本大会には、東南アジア・中国・韓国・日本・南アジアの4つの地域から10チームが出場。ダブルエリミネーション形式のトーナメントで、「VCT Champions」出場への1枠をかけて戦いました。
なお、複数の中国チームと「ZETA DIVISION」の出場辞退を受け、地域ごとの参加チーム数が変更されたことにより、日本からはサーキットポイント上位の「REJECT」、「Northeption」、「FENNEL」の3チームが出場しました。
このトーナメントで「Northeption」が着実に勝ち進み、東南アジアの「FULL SENSE」とのBo5での決勝を迎えました。決勝の1マップ目では「Northeption」が勝利しますが、「FULL SENSE」が2マップ目を取り返し、マップカウントは1-1へ。
3マップ目では、オーバータイムが続く激戦となりますが、これを「Northeption」が18-16で勝利します。しかし、4マップ目を「FULL SENSE」が制したことで、マップ5へと突入。手に汗握る熱戦となりますが、これを「FULL SENSE」が勝ち切り、3-2で優勝を決めました。
「VCT Champions」の出場権にあと一歩のところまで迫っただけに、「Northeption」としては非常に惜しい結果となりましたが、アジア2位という快挙を達成しました。
いよいよ「VCT Champions」、12月1日よりスタート!
そして、まもなくスタートする世界大会「VCT Champions」。初日Day1の配信は、12月1日22時より開始されます。「VCT Champions」では、敗者復活ありのダブルイリミネーション形式で行われる、4チームごとのグループステージを実施。各グループ上位2チームは、敗者復活なしのシングルイリミネーションブラケットへ進出します。
「Crazy Raccoon」はグループCに振り分けられ、東南アジア代表「Team Secret」、ブラジル代表「Team Vikings」、そして因縁の相手であるEMEA代表「Gambit Esports」と同組に。初戦は、12月1日26時から行われる「Team Vikings」との試合になります。
「VCT Champions」では、YouTubeとTwitchにて日本語配信が行われます。ぜひ日本代表「Crazy Raccon」を応援しながら、観戦を楽しみましょう!
■出場チーム
・ヨーロッパ、中東、アフリカ地域(EMEA)- 4チーム
Acend
Fnatic
Gambit Esports
Team Liquid
・北アメリカ- 3チーム
Cloud9
Sentinels
Team Envy
・ブラジル - 3チーム
Vivo Keyd
Furia
Team Vikings
・韓国 - 1チーム
Vision Strikers
・日本 - 1チーム
Crazy Raccoon
・ラテンアメリカ - 1チーム
KRU Esports
・東南アジア - 3チーム
X10 Esports
Team Secret
Full Sense