KDDIは9月13日、SpaceX(Space Exploration Technologies)が開発した「Starlink」の通信衛星を、au基地局のバックホール回線に利用する契約を締結したと発表した。2022年をめどに、まずは全国約1,200カ所で順次導入を開始するという。

  • KDDIによる発表文(一部)

SpaceXは、米電気自動車メーカー・テスラの共同創設者兼CEOであるイーロン・マスク氏がCEOを務める、民間の米宇宙開発企業。2020年11月に宇宙航空研究開発機構(JAXA)宇宙飛行士の野口聡一さんが国際宇宙ステーション(ISS)に向かい、2021年5月に帰還したが、このときに使われた宇宙船「クルードラゴン」もSpaceXのものとなる。

「Starlink」は、SpaceXが提供する通信衛星ネットワーク事業。従来の静止軌道衛星に比べ、地表からの距離が65分の1程度と大幅に近い、高度約550kmの低軌道に配置された衛星ネットワークにより、地球上でインターネットサービスが届いていない場所などに接続サービスを広げようとするものだ。既に10万人以上のユーザーに初期ベータ版サービスを提供しているという。

KDDIは総務省から実験試験局免許の交付を受け、「Starlink」の通信衛星と地上のインターネット網を接続するゲートウェイ局 (地上局) を、KDDI山口衛星通信所に構築。現在は品質と性能を評価するため、SpaceXと共同で技術検証を行っている。

KDDIでは「Starlink」をバックホール回線としたau基地局を導入し、auエリアを補完することで、これまでサービス提供が困難とされていた山間部や島しょ地域のほか、災害対策でもauの高速通信を体験できるようになるとしている。