JVCケンウッドは、世界初の8K/60p入力に対応したホームシアター向けプロジェクター3機種をVictor(ビクター)ブランドから11月下旬に発売する。価格は、最上位機種の「DLA-V90R」が275万円。
独自のD-ILAデバイスを搭載した8K対応プロジェクターの最新機種で、レンズや8K表示技術、明るさなどが異なる3機種をラインナップ。JVCは4K/8K対応の家庭用プロジェクターのラインナップを拡大しており、今回新たにVictorブランドの製品として市場投入する。
最上位機種のDLA-V90Rは新開発の表示技術「8K/e-shifX」や100mmの大口径レンズを搭載し、8K解像度表示の再現能力を強化。ミドルモデルのDLA-V80Rは、レンズ以外の主要機能は最上位DLA-V90Rと共通。DLA-V70Rはコストパフォーマンスの高い入門機と位置づける。
■8K対応D-ILAプロジェクター
- 「DLA-V90R」(8K e-shiftX/100mm径レンズ/3,000ルーメン):275万円
- 「DLA-V80R」(8K e-shiftX/65mm径レンズ/2,500ルーメン):165万円
- 「DLA-V70R」(8K e-shift /65mm径レンズ/2,200ルーメン):125万円
3機種すべてで、ホームシアター向けプロジェクターとして世界初となる8K/60p入力に対応。最新LSIを搭載したことで、4K入力の4倍となる情報量を入力からD-ILAデバイスまで瞬時に処理して8K信号を正しく表示できるようになり、常に安定した8K高画質の映像表現を楽しめるという。PlayStation 5やXbox Series Xといった最新ゲーム機がサポートする4K/120p入力にも対応し、低遅延モードを搭載。ハイフレームレートのゲーミングコンテンツなどの表示に効果を発揮するという。また、HDR規格はHDR10、HLGに加え、ホームシアター向けプロジェクターとして世界で初めてHDR10+をサポートする。
ネイティブ4K(4,096×2,160ドット)対応の0.69型D-ILAデバイスを搭載。JVCでは、1画素を斜めに0.5画素シフトさせることで縦/横方向の解像度を実質2倍とする独自の「e-shift」技術と組み合わせ、8K(8,192×4,320)解像度を表示する独自の「8K/e-shift」テクノロジーを従来機種で採用しており、DLA-V70Rにも投入している。
上位機種のDLA-V80R、DLA-V90Rでは、この8K/e-shift技術を進化させ、シフト方向を従来の斜め2方向から、上下左右の4方向とすることで、8K解像度表示の再現能力を向上させた「8K/e-shifX」を搭載。D-ILAデバイスの駆動性能を高め、パネル駆動を従来機種(120Hz相当)の2倍となる240Hz相当まで引き上げることで8K/e-shifXを実現した。
また、光源にブルーレーザーダイオードを採用した独自のレーザー光源技術「BLU-Escent」を全機種で搭載し、最上位のDLA-V90Rでは3,000ルーメン、DLA-V80Rでは2,500ルーメン、DLA-V70Rでは2,200ルーメンの明るさを確保。さらに約20,000時間の長寿命を両立させたとする。
レーザー光源では光出力の制御が瞬時に行えるレーザーダイオードを採用し、従来の機械式絞りに比べ、遅延の少ないダイナミックな明るさ調整が可能。映像シーンの明るさに応じて出力を制御することで、人間の知覚に近い映像を再現できるという。D-ILAパネルとの組み合わせにより、ネイティブコントラストはDLA-V90Rでは100,000:1、DLA-V80Rは80,000:1、DLA-V70Rは40,000:1を実現する。
最上位DLA-V90Rは、16群18枚オールガラス・オールアルミ鏡筒で100mmの大口径レンズを搭載。上下100%、左右43%という広いシフト範囲を確保しながら画面の隅々まで高解像度を映しきるために、RGBの屈折率の違いを加味した5枚の特殊低分散レンズを採用しており、シフト時の色収差・にじみなどを抑えて、8K解像度を忠実に再現できるという。投写サイズは60型~300型。
ほかにも、プロジェクターの心臓部である光学ユニットを刷新した「Ultra-High Contrast Optics」を搭載。プリズムの偏光方式を改良して光出力をアップするとともに、光学系内部の構造を見直して不要光を抑え、クリアで色鮮やかな映像を実現する。
DLA-V80R、DLA-V70Rでは、15群17枚のオールガラスレンズを採用した65mm径レンズを搭載する。投写サイズはどちらも60型~200型。
3機種とも独自の「Frame Adapt HDR」機能を備え、HDR10コンテンツのフレームごとの最大輝度を独自のアルゴリズムで解析し、映像投写に最適なダイナミックレンジにリアルタイムで自動調整する。また、設置環境や使用時間に合った最適なトーンマッピングを自動で行う「Theater Optimizer」機能も備え、ユーザーの使用状況に応じてHDR映像の再現性を高める。
滑らかで自然な動きを実現する、独自の残像低減技術「Clear Motion Drive」も採用。補間アルゴリズムを見直し、オブジェクト境界における動き補償精度を向上させたほか、映像の動きに応じてD-ILAデバイスの駆動を最適化する「Motion Enhance」との組み合わせにより、4K/8K映像を滑らかに再現するという。ただし、Clear Motion Driveは4K/120p入力時には使用できない。
DLA-V90RとDLA-V80Rはこのほか、シネマフィルターも採用し、DCI-P3の広色域による色鮮やかな映像を実現するという。
3機種ともHDMI入力は2系統で、48Gbps/HDCP2.3対応。制御用のEthernetとRS232C端子、DC12Vトリガー、ファームウェアアップデート用のUSB端子も搭載する。
3Dシンクロ端子を備え、別売の3Dシンクロエミッター(PK-EM2)と3Dメガネ(RF方式)を用意すれば、3D映像視聴が可能。対応する3Dフォーマットはフレームパッキング、サイドバイサイド、トップアンドボトム。
消費電力はV90RとV80Rが440Wで、V70Rが420W。本体は壁に近づけての設置など、さまざまな設置環境に対応する後面吸気・前面排気構造。ファンノイズは24dBで3機種共通。
本体サイズと重さは、V90Rが500×528×234mm(幅×奥行き×高さ)/25.3kg。V70R/V80Rの本体サイズは500×505×234mm(同)で共通、重さはV80Rが23.1kg、V70Rが22.5kg。