バルミューダが9月8日に発表した同社初のコーヒーメーカー「BALMUDA The Brew」、メディア向けの試飲会でさっそく体験してきました。「バルミューダがお届けする、最良のコーヒー体験」をコンセプトとしたBALMUDA The Brewは、開発に6年かけたという気合いの製品。その味は――。BALMUDA The Brewならではの「美味しいコーヒー」を作り出すための工夫とは――。

  • BALMUDA The Brew

    会場に展示されていたBALMUDA The Brew。シンプルでスタイリッシュな本体デザインは、さすがバルミューダ

  • 会場では試飲だけではなく、目の前でコーヒーを淹れる様子も

珍しいオープン構造を採用したコーヒーメーカー

BALMUDA The Brewを見て最初に驚いたのがデザインです。バルミューダ製品ということで、個性あるかっこいいデザインなのはもちろんですが、目を惹くのがドリッパー(フィルターと粉コーヒーを入れる器具)上部のオープン構造。一般的なトリップ式コーヒーメーカーは、ドリッパーの上部を覆うような構造になっていますが、BALMUDA The Brewはコーヒー抽出中もフィルター内がしっかり見えるんです。

  • 本体サイズは幅140×奥行297×高さ379mm(取っ手含む)。重さは約3.4kg。マットブラックを基調にしたデザインは、レトロシンプルでバルミューダらしさを感じます。サーバーをきちんとセットしないと、動作しないようになっています

基本的なスペックもよく考えられています。たとえば、ドリッパーには一般的な台形型ではなくコーン型を採用。通常、コーン型は台形型よりドリッパー底の穴が大きく配置されていて、コーヒーを抽出したときに雑味やエグ味が出にくいのが特徴です。ただし、穴が大きいぶんお湯がすばやく通過するため、お湯を注ぐ量やタイミングは台形型より難しいとされています。

  • 付属のドリッパースタンドに置いたBALMUDA The Brewの円錐型ドリッパー。もちろん紙フィルターにもコーン型用フィルターを使います

抽出したコーヒーを受けるサーバーは、真空二重構造になったステンレスサーバー。魔法瓶と同じ構造なので、ドリップ後1時間ほどはコーヒーを温かいまま保温できるうえ、ヒーター式保温のように時間とともにコーヒーが煮つまる心配もありません。本体の水タンク容量は最大約490mlで、一度に3杯分まで抽出可能。短時間で飲み切るのが前提ですね。

なお、ミル機能は付いていないので、コーヒー豆を挽いた粉コーヒーを買ってくるか、家庭で挽く場合は別途コーヒーミルが必要です。バルミューダによると、BALMUDA The Brewはコーヒー豆の焙煎具合や挽き具合によらず、美味しいコーヒーを淹れられるように調整したとのこと。

  • BALMUDA The Brewの真空二重構造サーバー。ハンドルのデザインがバルミューダの電気ケトル「BALMUDA The Pot」に似ています

濃く抽出したコーヒーを「お湯で割る」という新発想

実際にコーヒーを抽出します。まずは本体後方にある水タンクに水を補充。水タンク容量は最大約490mlです。本体から取り外せるため、水道の蛇口から直接水を入れてもOK。

  • 取り外し可能な水タンク。BALMUDA The Brewは一度に最大3杯(一杯約120mlで最大約360ml)までコーヒーを抽出できます

紙フィルターと粉コーヒーをセットしたら、本体上部の操作パネルで電源を入れ、抽出モードと抽出杯数を選択します。抽出モードは標準的な「REGULAR」、REGULARよりもパンチのある味で抽出する「STRONG」、そして少ない湯量で濃く抽出する「ICED」の3モード。抽出杯数は1杯・2杯・3杯です。

  • 電源を入れると操作パネル左上のランプがフンワリ点灯。モードと杯数を選んで「START」ボタンを押します

BALMUDA The Brewは、その抽出方法もかなり独特。まずはサーバー内に直接熱いスチームを吹き付けて、サーバーを温めます。抽出したコーヒーを冷めにくくしているわけです。ドリッパーを経由せず、サーバーに直接スチームを送り出す機構はかなり斬新。

  • 本体中ほどにあるシルバーパーツの先に、サーバー内に直接お湯やスチームを抽出する「バイパス注湯」用湯口があります

  • 赤で囲った部分、サーバーに直接お湯が入ってるのがわかるでしょうか

サーバーを温めたらドリップをスタート。最初は高温の熱湯を少し粉コーヒーにかけて蒸らし、その後は湯温を徐々に低くしながら0.2mlという細かな単位で間欠的にお湯を注ぎ続けます。

とても特徴的なのが、REGULARモードの仕上げ。濃い目にコーヒーを抽出し、最後はサーバーに直接お湯を注いでちょうど良い濃さのコーヒーに調整するという、ドリップコーヒーとしてはかなり変則的な抽出方法です。

バルミューダが社内でコーヒーの味をチェックしたところ、抽出後半にドリップされる液体は、コーヒーの香りや味、コクよりも、雑味やエグ味が強く出ていたそう。このため、雑味が強くなる前にコーヒーを濃い目に抽出し、お湯を足すことで雑味の少ないスッキリとした後味のコーヒーを抽出する仕組みにしたとのこと。

  • REGULARモードの抽出過程。細かい温度管理もバルミューダが得意とするところ

  • オープン構造なので、抽出中(蒸らし中)の粉コーヒーが膨らむ様子や、抽出中の豊かな香りがしっかり楽しめます。コーヒーが抽出される過程をここまで見られるドリップ式コーヒーメーカーは珍しいんです

【動画】お湯を少しずつシャワーのように落とす間欠抽出。コーヒー1杯なら約4分~4分半、3杯なら約6分~6分半かけて、ゆっくりと抽出します。会場が騒がしいため動画ではわかりにくいですが、抽出中は「コッコッコッ……」という振り子時計のような音が鳴り、抽出中であることを知らせます。これもバルミューダらしい演出ですね
(音声が流れます。ご注意ください)

今回の試飲会では「誰でも手に入る豆」ということで、スターバックス コーヒーの「TOKYO ROAST」を使用しました。BALMUDA The BrewのREGULARモードで抽出した一杯は、まず香りが強く感じられ、コーヒー独特のナッツのようなコクがあとから追いかけてきます。苦味も感じられますが、後味がサッパリしているためかサラッと飲める印象です。飲み終わったあとに鼻から抜けるような浅い豆の香りを感じます。

  • REGULARモードのコーヒーを味わうマイナビニュース・デジタルの林編集長。毎日2L近くコーヒーを飲むというコーヒー好き。「REGULARモードは香りとコクが強い印象。個人的にはSTRONGモードが好みでした」(林)

STRONGモードは、最後までドリッパーでコーヒーを抽出するモード。REGULARモードよりも強さのある味が楽しめるのが特徴といいます。実際に試飲してみると、REGULARモードよりも強いクルミのようなコクを感じます。飲んでいるとかすかに雑味もあるのですが、その雑味が苦味と合わさってパンチのあるバランスの良い味になっていると感じます。

  • REGULARモードよりも苦味があり、コーヒーらしい味のSTRONGモード。甘いスイーツに合わせるのにピッタリの味でした

  • ICEDモードで抽出したアイスコーヒーも試飲。ICEDモードでは、通常は1杯約120mlで抽出するところ、1杯約75mlと少量のお湯で濃く抽出します。これを氷で冷やすことでちょうど良い濃さのアイスコーヒーが完成します。たくさんのミルクで割るカフェオレにも合いそう

バルミューダといえば「二重羽根の扇風機」や「水(蒸気)を使って焼くトースター」など、さまざまな新しい家電を生み出してきました。今回のBALMUDA The Brewも「オープン構造のドリッパー」「サーバーに直接お湯を注げるバイパス注湯」「抽出中の細かな温度制御」など、バルミューダらしい特徴的な機能が盛り込まれています。オープン構造のため、抽出中も目と鼻でコーヒーを楽しめるのも、コーヒー好きにはうれしいもの。

今回は一種類の豆しか試飲していませんが、REGULARモードなら雑味が少なくサッパリとした味。STRONGモードも比較的クセが少ない味にドリップしていました。「とにかくドッシリした味のコーヒーが好き」という好みでなければ、ほとんどの人が美味しいと感じるコーヒーをドリップできると思います。

  • バルミューダらしいデザインなので、ほかのバルミューダキッチン家電と並べてもインテリアとしての相性が良さそうです