NEC、東京電力パワーグリッド、ウェルモ、三井住友海上火災保険、東邦大学医学部衛生教室、大田区は9月3日、東京都の「次世代ウェルネスソリューションの構築事業(モデルプロジェクト)」における事業者に採択されたことを発表した。

また、NECは産官学連携の下で実証プロジェクト「都民の健康増進のための産官学データ活用ウェルネスサービス実証」を開始するという。実証を通じて同社は、将来にわたる都民の主体的な健康づくりを支えるため、予防から予後改善までを広く対象とする「生活習慣改善を促すウェルネスサービス」の社会実装によるQOL(生活の質)向上を目指す。

同社は同実証によって、ウェルネスサービス事業者および、それらを支援する付加価値事業者をつなぐデジタルプラットフォームの提供を狙う。同社はNEC Smart Connectivityブランドとしてデータ流通のプラットフォームサービスを提供しており、このプラットフォームを活用して、異業種間のデータを安全に流通させるとともに、サービス事業者の事業計画策定や分析を支援するとのことだ。

  • プロジェクトの概要

同実証では3つのプロジェクトを通じて、データ取得から分析、活用による事業創出と、データ活用事業をサポートする仕組み全体が、ビジネスエコシステムとして成り立つのかを検証する。同社は同実証において、歩行分析センサによる計測データの提供や、FiNC Technologiesのヘルスケアアプリを活用した行動変容サービス検証、データ分析やデータ活用プラットフォーム検証などを行う。

1つ目のプロジェクトは、エリア分析と予防プログラム開発に関する研究である。人口動態や購買、医療などのデータから大田区内の住民の生活様式と疾病状況の関連を分析して、エリアごとの地域課題の可視化を目指す。また、糖尿病患者の家電の使用状況や血糖値をモニタリングして、生活リズムと血糖値変動の関連性を探る。

2つ目はデータを活用したウェルネスサービス事業検証である。要介護者宅における電力や人感センサーのデータなどの情報を可視化し、家族や介護事業者のモニタリング業務に役立つサービスを検討するという。さらに、ライフログデータの分析結果を使用した行動変容サービスの開発も進める予定だ。

3つ目はサービス事業者を支援する付加価値事業検証だ。サービス事業者のデータ活用を支援する付加価値事業の検証として、各種データの連携や分析を行うことで、分析結果がサービス事業者にとって有益かを検討する。加えて、サービス間のID連携や同意の取得について、どのような形態がユーザーに受け入れられるかといったコンセプトの検証も同時に実施する。