カニエ・ウエストが「Donda Stem Player」というStem音楽プレイヤーを発表した。2019年頃からインタビューで語っていたポータブルデバイスだと見られる。制作中のニューアルバム「Donda」を収めて提供し、価格は200ドル。米国と英国で販売を開始しており、夏中に出荷を開始する予定。
Stemは、完成された楽曲をボーカル、ベース、ドラムといった構成各パートに分離したオーディオ要素を指す。近年、リミックスに利用できるように、音源をパート別に分割したStemデータで楽曲を提供するケースが見られる。また、AIを用いて楽曲をパート別に分離する技術が一般向けのツールでも提供されるようになった。
Donda Stem PlayerのWebサイトの情報によると、同プレイヤーは.AIFF、.AIF、.FLAC、.M4A、.MP3、.WAV、.WAVE、.AAC、.ALAC、.MP4といったオーディオ形式をサポートする。そして、どのような音楽でもStemsに分離できるという。
最大の特徴は音楽再生のカスタマイズだ。ボーカル、ドラム、ベース、その他の4つに分離した音楽をパートごとに操作できる。例えば、ボーカルのみを再生したり、特定のパートの音量を上げ下げするといったことが可能。さらにエフェクト、4チャンネルのミキシング、ループやリバース、速度コントロールといった機能を備え、デモ動画を見るとStem Playerだけで簡単なDJプレイを楽しめる。
Donda Stem Playerはディスプレイがなく、タッチで操作する十字スライダー、Bluetooth、USB-Cポート(充電およびデータ用)、スピーカー、3.5mmヘッドフォンジャック、音量ボタンなどを装備する。内蔵ストレージは8GB。スライダー部分は操作や音楽に合わせて光り、カラフルなイルミネーションでもカスタマイズ再生を楽しめる。
音源の一部を公開したり、スタジアム級の会場で試聴イベントを開催するなど、カニエ・ウエストはこれまで以上に「Donda」のリリースに力を注いでおり、ファンの期待も高まっている。そこにDonda Stem Playerの話題が加わった。ただし、「Donda」は最初のリリース予定日だった7月24日からすでに数回リリースが延期されている。カニエ・ウエストは過去にもリリース延期を繰り返したことがあるだけに、夏中の登場を疑う声も少なくない。