東京大学は6月15日、一般的なデジタルカメラの画像から、鉢植え植物の3次元データを高精度に自動測定するPythonパッケージ(EasyDCP:Easy Dense Cloud Phenotyping)を開発し、公開したと発表した。

  • EasyDCPを利用した測定の大まかな流れ 資料:東京大学

同大学によると、近年は植物の3次元形質を非破壊的に測定するための手法が発展してきているが、既存のシステムは高価であり、大規模な施設や専門的な装置が必要といった理由から、生態学の分野ではそれらのシステムがほとんど用いられてこなかったという。

しかし、生態学的研究において草丈、投影葉の面積、草姿など植物の形に関する測定は非常に重要であり、鉢植えの植物を安価で高速に測定するシステムが必要とされていた。そこで同大学は、一般的なデジタルカメラと、市販およびオープンソースのソフトウェアを組み合わせたパイプライン(EasyDCP)の開発に至ったとのこと。

同パイプラインは、「デジタルカメラを用いた植物株の撮影」「撮影された2次元画像から3次元点群構築を行う」「3次元点群データを分析し植物の形質に関わる特徴量の計算」の 3ステップから構成されているとのこと。

EasyDCPの精度を評価するため、ホソアオゲイトウ、ツユクサ、オヒシバ、メヒシバ、ハキダメギクの5種類の鉢植え植物について、各個体の草丈と投影葉面積をEasyDCPで測定し、手作業の測定値およびレーザースキャナの測定値とで比較した。

比較の結果、投影葉面積はレーザースキャナと同程度正確であり、草丈はレーザースキャナよりも同手法のほうが正確であったことから、EasyDCPは非常に高い精度で形質を測定できることが明らかになったとのこと。

同大学は、同手法は既存の3次元形質計測システムと比べて安価であり、多様なサイズの植物を計測できることから、生態学的研究をはじめとして、これまで3次元での形質測定が用いられてこなかった分野での応用が期待できるという。