LIXIL(リクシル)は6月9日、スマートホームシステム「Life Assist 2」を発表しました。Life Assist 2用のハードウェア「ホームデバイス」と、対応する住宅設備や家電、各種センサーやリモコン、HEMSなどとつなげることで、設備操作の自動化、見守り、防犯までを手軽に行えるサービスです。

発売は7月1日からで、システムの中心となる「ホームデバイス(規格コード:Z-A001-XAAA)」のメーカー希望小売価格は55,000円。Life Assist 2という名前があるように、本サービスには前身となる「Life Assist」があります。新旧のもっとも大きな違いは料金体系でしょう。従来のLife Assistは月額1,980円のサブスク方式を採用していましたが、Life Assist 2は機器購入後は月額など定期的な支払いは必要ありません(最初または追加で対応機器を導入するコストのみ)。

  • 今回の発表は、実際の住宅建物を使ったLIXILの研究施設「U2-Home」にて行われました

  • 宅内のルーターと接続して利用する、Life Assist 2の心臓部であるホームデバイス。設備や家電など操作、制御するためのゲートウェイです。本体サイズはW111×D111×H28mmでシンプルなデザイン

LIXILが住宅をIoT化

Life Assist 2は、サービスに対応する家電や住宅設備、センサー機器などをインターネットにつなげるIoTシステム。本サービスを利用することで、対応機器の状況をスマートフォンのアプリで確認したり、遠隔地から操作したり。オプションとして用意されている専用カメラやセンサー、赤外線集中リモコンを利用することで、より多くの機器をコントロールできるようになります。専用アプリ「Life Assist 2」の対応OSは、iOS 13以降、Android 7以降です。対応機器はLIXILのWebサイトで一覧できます(リンク先はPDFファイル、随時更新される予定)。

  • 専用のホームデバイスを中心に、さまざまな家電とつながるLife Assist 2。電動シャッタ―をはじめ、家庭用ヒートポンプ給湯器など、ECONET Lite対応機器の多くが利用できます

Life Assist 2は「ECONET Lite」機器の多くに対応しますが、専用のオプションを利用することで、非IoT機器のスマート化も可能です。Life Assist 2用のオプションには、赤外線リモコンを使った機器を遠隔地から動かせる「赤外線集中リモコン(規格コード:Z-A009-XAAA)」のほか、電気錠や電動シャッターとホームデバイスを連携するための「JEM-Aアダプタ(規格コード:Z-A002-XAAA)」、縦方向90度・横方向345度可動する1080p(200万画素)の「屋内カメラ(規格コード:Z-A008-XAAA)」、縦横110度の広い視野角を持つ1080p(200万画素)の「屋外カメラ(規格コード:Z-A007-XAAA)」などがあります。

  • 非IoTのエアコンや照明などをスマートフォンで動かせるようにする、学習型マルチリモコン「赤外線集中リモコン」。メーカー希望小売価格は13,200円

  • 電気錠や電動シャッターとホームデバイスを連携する「JEM-Aアダプタ」。メーカー希望小売価格は35,200円

  • 人感センサーを内蔵し、ナイトビジョンや双方向通話にも対応した屋内用カメラ。子どもやペットの見守りに役立ちそうです。メーカー希望小売価格は22,000円

  • 屋外カメラは人感センサーを内蔵しており、ナイトビジョンと双方向通話にも対応します。メーカー希望小売価格は22,000円

このほか、防犯や機器動作のトリガーにもなる各種センサーを用意。温度・湿度・照度を検知する「温湿度センサ(規格コード:Z-D141-NRAC)」や、人の動きを検知する「広域人感センサ(規格コード:Z-D121-NRAC)」、玄関ドアや窓に設置することで、開閉状況を専用アプリで確認できる「ドア窓センサ(規格コード:Z-D101-NRAC)」があります。これらを自宅のLife Assist 2システムに組み込むことで、「部屋の温度が27℃を越えたら冷房をオン」「人がいないときにドアが開いていたらスマートフォンに通知」といった動作を設定できます。

  • 温度・湿度・照度を検知、計測する「室温度センサ」。メーカー希望小売価格は6,820円

  • 人の動きを検知して専用アプリやメールに通知したり、連携している機器を起動できる「広域人感センサ」。メーカー希望小売価格は14,850円

  • ドアや窓の開閉状態をリアルタイムでチェックできる「ドア窓センサ」。メーカー希望小売価格は9,460円

ちなみに「機器を操作するために、いちいちスマートフォンのアプリを起動するのが面倒」という人のために、ボタンを押すだけで家電や照明を操作できる「クリッカー(規格コード:Z-A003-XAAA)」も用意されています。専用アプリの設定しだいで、クリッカーで複数の機器を同時に制御することも可能です。

  • 機器のオンオフや特定の動きを設定するスイッチ「クリッカー」。クリック一回、ダブルクリック、長押しという3通りの動作それぞれに、異なる動きを登録しておけます。メーカー希望小売価格は6,600円

部屋ごとの家の状況がわかる専用アプリ

一般的なIoT家電と、今回発表されたLife Assist 2との違いとしては、Life Assist 2は「家を丸ごと管理」しやすいこと。Life Assist 2は家族一人ひとりにIDを発行して(最大10人まで)、IDごとに権限を変えられます。たとえば、親は家中の機器にアクセスし、子どもは自分の部屋の機器だけコントロール許可といった設定が可能です。

  • Life Assist 2アプリのホーム画面。画面中央のカエルや鳥のマークは、Life Assist 2に登録した家族のアイコン。家族それぞれが持つスマホのGPSと連動し、家族の誰が自宅にいるかまで一目でわかります

  • ホーム画面の「寝室」マークをタップすると、寝室にあるLife Assist 2対応機器をリストとイラストで表示。ここから各機器をコントロールします

  • 屋内カメラを設置している場合は、部屋の画面からカメラ映像もチェック

Life Assist 2とアプリで実現することはたくさんあります。ひとつは、機器のラクラク操作。家の外でも中でも、場所を選ばずスマートフォンで機器を操作できるほか、スマートスピーカーと連携させれば音声操作にも対応します(Googleアシスタント、Amazon Alexa)。

  • 「おはよう」の声かけでカーテンを開けて、照明を点灯して、一階のリビングにあるテレビを点ける……といった複数機器の一括操作も

もうひとつは機器操作の自動化。曜日や時間といった特定のタイミングで機器を起動・終了させたり、温度や湿度、ドアの開閉、人の入室など、さまざまな動きをトリガーとして、設備や家電を操作します。また、Life Assist 2から加わった機能として、ウェザーニューズが提供する気象情報との連動機能も搭載。たとえば、1時間後に暴風雨が予測される場合に、自動的にシャッターをクローズするといった自動制御も可能です。

  • 雨が降ると自動でシャッターを閉める「悪天候あけっぱなし通知」や、外出時にドアが開くと通知してくれる「外出時とじまりチェック通知」など、防災・防犯に便利そうな機能が盛りだくさん

これらの機能を利用することで、遠隔地に住む親の見守りにも役立ちます。一例として、離れたところに住む高齢の親が照明をオンオフしたかどうかをチェックする権限を自分が持つことで、親の生活をのぞき見ることなく、プライバシーに配慮しながら見守れます。

今回、筆者も少しだけLife Assist 2を体験しました。LIXILが開発しただけあって、シャッター、玄関ドア電気錠、ドアホン、給湯器、はてはHEMSまで、とにかくさまざまな「家」の設備と連携。こうした機器をアプリひとつで操作し、また複数の機器を連携動作できるのは確かに便利そうです。

一方で、多くの機器やセンサーを一括操作できる上、さまざまなシチュエーションや防犯・防災にも対応させた関係上、一部の操作やアプリのインタフェースは少々複雑。スマートフォンやIoT機器の扱いに慣れていないユーザーには少し難しいかも……と感じる部分もありました。この手のサービスはアプリの使い勝手がとても大切なので、普及とともに操作性をブラッシュアップし、本当に誰でも簡単に使えるIoTサービスになっていくことを期待します。