米Mozillaは、4月19日(現地時間)にFirefoxの新バージョンとなる「Firefox 88」をリリースした。Firefox 87から4週間でのバージョンアップである。この4週間に、マイナーアップデートはなく、87からのアップデートとなる。

Firefox 88のインストール

すでに自動アップデートが可能な状況になっているが、ここでは手動でアップデートする方法を説明したい。Firefoxメニューの[ヘルプ]→[Firefoxについて]を開くと更新が自動的に開始される。[再起動してFirefoxを更新]をクリックする(図1)。

  • Firefox 88へのアップデート

    図1 Firefox 88へのアップデート

アップデート後のFirefox 88は、図2のようになる。

  • 図2 バージョン88にアップデート直後のFirefox

新規に、Firefox 88をインストールする場合、FirefoxのWebページからインストーラをダウンロードする(図3)。

  • 図3 Firefoxのダウンロードページ

[今すぐダウンロード]をクリックし、保存したファイルをダブルクリックして、インストールを開始する(図4)。

  • 図4 Firefox 88のインストール

画面の指示に従い、インストールを進めてほしい。以下では、新機能や変更点のいくつかを具体的に見ていこう。

Firefox 88の新機能

続いて、新機能であるが、今回のリリースでは、以下の新機能の追加、変更が行われた。

  • PDFフォームでは、PDFファイルに埋め込まれたJavaScriptをサポート。一部のPDFフォームにおいて、検証などのインタラクティブ機能にJavaScriptが利用可能に
  • 印刷の更新:マージン単位でのローカライズをサポート
  • Linuxでタッチパッドを使用したスムーズなピンチズームをサポート
  • クロスサイトプライバシーリークから保護するために、window.nameプロパティを作成したWebサイトから分離

クロスサイトプライバシーリークの保護であるが、従来のwindow.nameプロパティはJavaScriptでウィンドウの名前の取得に使われていた。しかし、この機能を悪用すると、個人情報をドメインを超えて利用することが可能になる。そこで、別のWebサイトへ移動するときに、window.nameプロパティをクリアするというものだ。こうすることで、より個人情報が守られることになる。

また、Firefox 88では、FTPサポートが無効化された。FTPは、旧来のプロトコルであり、平文でデータがやりとりされる。パケットアナライザなどを使うことで、IDやパスワードなどの不正取得が不可能ではない。かねてより、FTPについては、廃止を求める声が少なくなかった。その一方で、anonymous ftpは、フリーソフトやソースコードの公開などで、重要な役割を担ってきた。しかし、最近では、GitHubといったサービスに移行しつつある。必然の流れともいえるかもしれない。

実際に、FTPサイトにアクセスすると、図5のようになる。

  • 図5 FTPサイトにアクセス

まずは、アクセスの許可の確認が行われる。さらに進むと、ftpリンクを開くためのプログラムの選択画面となる。

  • 図6 ftpリンクを開くプログラムの選択

現在も、FTP用のクライアントソフトは、いくつか存在している。しかし、上述のようにFTPのセキュリティの問題点は解消されていないし、今後も解消されることは考えにくい(SSHやSCPなどを使うべきであろう)。もし、利用をしているのであれば、対応を考慮すべきであろう。Firefox 90では、機能の実装そのものが削除される予定である。

セキュリティアップデート

同時に行われたセキュリティアップデートであるが、修正された脆弱性はCVE番号ベース で13件である。深刻度の内訳は、4段階で上から2番目の「High」が5件、上から3番目の「Moderate」が6件、もっとも低い「Low」が2件となっている。

「High」では、

  • 遅延初期化による範囲外の書き込み
  • レスポンシブデザインモードでのメモリ解放後使用
  • Webページビューポートの外部でコンテンツがレンダリングされる
  • フォントをキャッシュから解放する際のメモリ解放後使用
  • Firefox 88で修正されたメモリ安全性の問題

となっている。最高レベルの「Critical」はないが、早めのアップデートをすべきであろう。