Googleがユーザートラッキング技術に代わる方法として開発を進めている「FLoC (Federated Learning of Cohorts)」は、Googleの意図とは異なり、さまざまな業界から反発する意見が相次いでいる。電子フロンティア財団(EFF: Electronic Frontier Foundation)は次のページにおいてFLoCが適切な技術ではないと指摘している。

こうした動きに対し、今度はWordPressが行動に出た。WordPressの開発者が4月18日(米国時間)、「Proposal: Treat FLoC like a security concern - Make WordPress Core」において、Google FLoCをデフォルトで無効化する提案を行った。本稿執筆時点で、WordPressは世界中のWebサイトの41%以上で使われているCMSだ(Q-Success調査)。WordPressがデフォルトでFLoCを無効化するという決定は、Googleの行動に影響を与える可能性がある。

  • Proposal: Treat FLoC like a security concern – Make WordPress Core

    Proposal: Treat FLoC like a security concern – Make WordPress Core

WordPressの開発者は、今回の問題について次のような説明を行っている。

  • GoogleはGoogle ChromeにおいてFLoCを展開している
  • FLoCはユーザーのブラウジング習慣に基づいてユーザーをグループに分類し、広告のターゲットにする
  • 電子フロンティア財団(EFF: Electronic Frontier Foundation)が指摘しているように、ユーザーの閲覧習慣に基づいてユーザーをグループ分けすることは、雇用や住宅などの差別を助長したり、知識のない消費者がターゲットにされたりする可能性がある
  • インフォームドコンセプトを行うことなく、人々をトラッキングしてそのデータを共有することにはプライバシーの懸念がある
  • FLoCを使いたいと考える管理者は既に技術的なノウハウを持っている可能性が高く、デフォルトの無効化設定は簡単に上書きすることができる

通常、こうした機能変更は次のバージョンアップ時に取り込まれるのだが、WordPressの開発者は今回の変更に関しては「セキュリティの問題のように扱う」と説明しており、セキュリティアップデートとして今月中に配信することになるだろうと説明している。さらに、これまでにリリースしたバージョンに対しても同様の形式で配信を予定している。

WordPressはすべてのWebサイトの41%で使われていると推定されており、そのデフォルト設定においてFLoCが無効化になることはGoogleの意思決定に少なからぬ影響を与える可能性がある。FLoCは現在開発および試験段階にあり、状況に応じて今度の展開が変わっていく可能性がある。