富士通は3月22日、オンライン試験における本人確認や不正検知などの課題をオンライン自動試験監督システムなどで解決し、安心かつ公平、効果的なオンライン試験の実現を目指す実証研究を、慶應義塾大学医学部医学教育統轄センターの協力のもと、2月5日〜3月5日にかけて実施したことを発表した。

  • 実証研究のイメージ

    実証研究のイメージ

この実証研究では、顔の有無や向きの検出などが可能なAIにより本人確認や試験中の不審行動を検知するProctorioのオンライン自動試験監督システム「Automated Proctoring Solution」と、多様な設問形式で柔軟かつ効率的にオンライン試験問題の作成や配信が可能なQuestionmark Computing Limitedの「Questionmark OnDemand」の両システムを使用したオンライン仮試験を実施し、自宅などから受験する学生の様子をシステムで記録、解析することで、両システムの有用性を確認したという。

オンライン自動試験監督システム「Automated Proctoring Solution」の実証研究では、替え玉受験防止のために、試験開始前にオンライン画面上で身分証と受験者本人の写真を撮影した後、Webカメラで常時オンライン試験中の受験者を記録し、受験者のPCデスクトップ画面やPCが認識する音も記録。顔検出などのAIを使って、カンニング行為として疑われる可能性が高い不審行為として、受験者が試験画面以外の方向を向くことや音声を発すること、スマートフォンなどの使用や受験者以外の人物の顔が映ることなどを自動検知し記録する。

検知結果は受験者一人ずつレポート形式にまとめられ、不審行為があった時間帯は不正の疑惑レベルに応じて赤色や黄色でアラート表示される。試験後、試験管理者は、アラート表示部分の画像や音声、PCデスクトップ画面の記録を確認することで、実際に行われた動作が不正行為に該当するものか否かを判断できるとしている。

その結果、被験者の学生が試験中にとった横や下など他の方向を見る、画面から消えるなどの不審な行動全てを顔検出などのAIを使って自動検知でき、正常な行動と判別できることを確認したという。また、試験中の様子を記録される受験者の不安を軽減し、システムの理解促進につなげるために、事前に自動不正検知結果の活用方法の説明を十分に行い、不審行為を疑われる動作の例を明確に示す必要性があることを確認したということだ。

  • 自動不正検知システムの結果レポートのイメージ画面

    自動不正検知システムの結果レポートのイメージ画面

「Questionmark OnDemand」の実証研究では、問題に動画や画像を組み込むなど、オンラインの特性を活かし20種類以上もの多様な形式の問題を作成できるうえ、一度作成した試験を設問単位で保管、管理できるため、既存の問題を組み合わせて効率よく新しい試験を作成できる。

その結果、対象者全員が自宅などからアクセスして受験し、混乱なく解答を完了できたという。また、自動採点により試験終了後すぐに採点結果を集計でき、かつ採点業務を効率化できることを確認したという。

同社は今後、有用性を踏まえて、大学や教育機関、企業研修において、より安心で効果的かつ効率的なオンライン試験やアセスメント環境の提供を可能とするニューノーマル時代に対応したエドテックサービスの開発を進めていくとしている。