日本オラクルは2月12日、データベース製品戦略に関する記者説明会を開催した。説明会では、執行役 社長を務める三澤智光氏が登壇し、「コンバージド・データベース」「Oracle Database 21c」について語った。

  • 日本オラクル 執行役社長 三澤智光氏

三澤氏は、第1世代のクラウドにおけるデータベースは目的別に用意されており、それゆえ、開発手法、運用管理、セキュリティなど、すべてデータベースごとにバラバラだったと指摘した。こうした第1世代のクラウドにおけるデータベースにおけるフラグメンテーションをなくすには、スマート・データベースが必要であり、それがOracle Database 21cだという。

オラクルでは、スマートデータベースを「コンバージド・データベース」と呼んでいる。コンバージド・データベースでは、開発手法、運用管理、セキュリティなどすべてが統一されており、さらに、同社のAutonomous Databaseの特徴である「自律性」も備えている。

  • オラクルのコンバージド・データベースの特徴

三澤氏は、ビジネスおよびITの双方のニーズから第2世代のデータベースが必要とされていると語った。「ビジネスの面では、攻めの経営に向けて、フロントシステムにおいて高度なカスタマーエクスペリエンスを実現する必要がある。ITの面では、IT基盤を効率化し、AI/機械学習を用い新たな知見を導き出すとともに、データ管理の自律化を実現する必要がある」

三澤氏は同社のデータベースの戦略の差別化のポイントについて、次のように説明した。

「開発・運用において、他社のデータベースはそれぞれSQLの方言があり、SQL以外の言語も使う必要がある。これに対し、Oracle Databaseでは、SQLでさまざまなデータに透過的にアクセスできる。また、実行基盤に関しては、他社のデータベースは汎用的なクラウドインフラストラクチャ上に目的別に構成されている。Oracle Databaseが稼働しているOracle Cloud Infrastructure(OCI)は、汎用クラウドに比べて、ネットワークが高速、フル暗号化といった強みがある。さらに、昨今の開発においては、コンテナやマイクロサービスが利用されているが、データにACID特性が求められるアプリケーションをそれらによって開発することは難しい。コンバージド・データベースはこの問題を解決できる唯一のデータベースとなる」

  • クラウドネイティブ環境におけるオラクルのデータベース戦略の強み

続いて、三澤氏は最新の「Oracle Database 21c」について説明した。同製品は現在、Oracle Cloudで提供されており、オンプレミス版(Linux版、Windows版、Exadata, Database Appliance)はこれから提供される。あわせて、時間制限なく特定サービスを無償で利用できる「Oracle Cloud Free Tier」においても提供されている。

同製品では、Autonomousを活用して、開発者・データサイエンティスト・管理者のそれぞれが使いやすい環境を実現しているという。同製品では216の新機能が追加されているが、三澤氏は特に気に入っている機能として、ブロックチェーンTable、AutoMLなどを挙げた。

「データの改竄による社会問題が起きているが、それはテクノロジーベンダーが解決策を用意していなかったから。Oracle Database 21cでは、ブロックチェーンTableが追加されたことで、SQLのインタフェースで改竄していないことを証明できるアプリケーションを開発できるようになった。また、今のAIは、さまざまなデータベースからデータを引っ張ってこなければならず面倒。Oracleのデータベースはシングルデータベースにさまざまなデータが格納されており、AutoMLが追加されたことで、機械学習モデルを容易に構築できるようになった」

  • Oracle Database 21cの新機能

「Oracle Database 21cへの移行は何がきっかけとなるか」という質問に対して、三澤氏は「Oracle Database 21cはさまざまな流行のスタイルや管理性を提供している。そのため、モダンなアプリケーションを開発したい人はOracle Database 21cを選ぶのではないだろうか。われわれも移行のベストプラクティスとツールはそろえている。ただし、長期サポートを求めているユーザーにはOracle Database 19cがオススメ。Oracle Database 21cの新機能をOracle Database 19cでも使えるようにしていく」

また、「目的別データベースと比べた場合、コンバージド・データベースは余計な機能まで購入することになるのではないか」という質問に対しては、「実際のプロジェクトにおいて、Amazon Web Servicesの単体のJSON型のデータベースと比べてもそれほどの価格の開きは出ていない。プライシングでも負けていない」との回答が行われた。