東芝は2月1日、インフラ設備の点検作業において、一般のカメラで撮影した1枚の写真から撮影場所とひび割れなどの劣化箇所の被写体の大きさを認識する、「点検情報管理AI」を開発したと発表した。同社はこの新技術を、東芝エネルギーシステムズのエネルギーシステム向けIoTプラットフォームを使って公開する予定であり、2022年度の実用化を目指す。
同技術は、同社がこれまでに開発した、画像から撮影位置を特定する「位置認識AI」及び、大きさを認識する「立体認識AI」の2つの技術を組み合わせたものであり、GPSからの電波が届かない発電プラント施設内などの巡視・保守点検作業の効率化に貢献するという。
GPSが届かない発電プラント施設内などの巡視・保守点検作業では一般的に、点検員がひび割れなどの被写体を撮影し、手作業で撮影場所やメジャーで計測した被写体の大きさを記録している。その後、撮影した写真を図面と照合・整理する必要があり、点検員の大きな負担になっているという。
同技術では、点検時に撮影した1枚の写真をサイバー空間にアップロードすることで、撮影位置と被写体の大きさの認識を同時に行う。れにより、追加の機材を導入しなくても点検情報をサイバー空間上の図面に蓄積できる。蓄積した点検情報は、図面の該当箇所へのアクセスにより入手可能。
同技術の利用により、点検員の他ロボットやドローンなどが撮影した写真をサーバにアップロードすることで、撮影場所やひび割れなどの被写体の大きさをAI(人工知能)が自動的に認識し、サイバー空間上で一括管理可能になる。同技術は作業の自動化を支援し、リモートワークでの情報共有もできるとしている。
なお、同技術について同社は、実世界(フィジカル)におけるデータを収集し、サイバー空間で利用しやすい情報や知識の構築が目的といい、同社グループが目指すCPSテクノロジー具現化の一端を担っていくとのことだ。