米Intelは1月13日 (現地時間)、CEO (最高経営責任者)のBob Swan氏が退任し、Pat Gelsinger氏が8代目のCEOに就任すると発表した。現在VMwareのCEOであるGelsinger氏にとって12年ぶりのIntel復帰になる。同氏は取締役にも就任する。
Gelsinger氏は2月15日に就任する。同氏は1979年にIntelでテクノロジー産業でのキャリアをスタートさせ、80486プロセッサをはじめとする数々のプロセッサ開発で功績を挙げ、2000~2005年にはIntel初のCTO (最高技術責任者)を務めた。その後、当時AMDに市場を奪われたデジタルエンタープライズ事業を立て直す。将来のCEO候補の1人に数えられていたが、2009年に30年務めたIntelを離れてEMCのプレジデント兼COO (最高執行責任者)に。2012年にVMwareのCEOに就任した。
Swan氏は、前任のBrian Krzanich氏がNon-Fraternizationポリシーに違反して辞任したのに伴い、2018年にCFO (最高財務責任者)から暫定CEOになった。当時Intelは、非PC向け事業の成長を加速させる新成長戦略の途中で、またPC需要の予想を超える上昇に対応しきれない供給問題に直面しており、正式CEO探しが難航。適任者を見つけられず、2019年にSwan氏がそのまま正式CEOに昇格した。財務畑からのCEOに対して、技術面の知見の乏しさを指摘する声があり、Wall Street Journalによると、アクティビストファンドのThird PointがIntelに対して抜本的な経営改革を求めたことがSwan氏の退任につながった。
Intelは製造プロセス10nm世代の立ち上げでつまづいたことでAMDの躍進を許した。昨年末にAppleがM1を搭載したMacの販売を開始、ARMベースのプロセッサをPCに採用する動きにも直面している。ふたたび技術畑のリーダーに舵取りを託して、Intelの歴史と積み上げてきた技術を基盤とした立て直しを図る。プレスリリースでGelsinger氏は「Intel、そしてテクノロジー産業や私達の国の重要な時期に、Intelに復帰して前進を率いていくことに胸が踊ります」と述べている。
Intelはプレスリリースの中で、2020年の業績に関連したCEO交代を否定している。売上高、EPSともに2020年10月22日のガイダンスを満たせる見通しで、1月21日の2020年10~12月期決算の発表では、順調に開発が進んでいる7nmプロセス技術に関する情報もアップデートするとしている。