近年の個人向けオンラインストレージは、大容量・低価格を売りにする、Google、Microsoft、Amazon、Appleなど大手IT事業者の存在感が増している。独立系のオンラインストレージで一定のシェアをいまなおキープしているのは、Dropboxくらいといっていい状況だ。
もっともこれら大手IT事業者のサービスは、オンラインストレージ以外のクラウドサービスと問答無用でリンクさせられるため、かえって使いにくさを感じることもある。また何らかの手違いでアカウントが停止されることがあれば、巻き添えで利用できなくなるリスクもある。
こうした場合に備えて、独立系のオンラインストレージをいつでも利用できるようにしておくと、非常時はもちろん、大手IT事業者における自分のユーザーアカウントを明かしたくない相手とのデータ共有などにも重宝する。さらに海外サービスであれば、災害などで国内のデータセンターに不測の事態があっても、データが守られる利点もある。
今回は、こうした条件に当てはまり、かつ無料のまま継続利用できるプランを備えた、国内では知名度は高くないものの海外での評価は高いオンラインストレージサービス5つを紹介する。いずれも日本語インターフェイスはなく英語での利用となるが、使い方はすぐに理解できるレベルなので、ぜひトライしてみてほしい。
スイス発、10GBが無料で使える「pCloud」
「pCloud」は、スイス発のオンラインストレージで、Cloudwards.netの2020年ベストクラウドストレージで1位を獲得するなど評価は高い。初期容量は10GB(ただしそのうち3GBは条件クリアにより開放)、紹介プログラムでユーザ1人ごとに1GBの容量が追加できる(上限500GB)。
売りであるエンドツーエンドの暗号化は有料プランのみ利用可能。Windowsで仮想ドライブとして使用するためのソフトのほか、ブラウザの拡張機能も充実している。
インタフェースが使いやすい「Icedrive」
「Icedrive」は、イギリス発のオンラインストレージサービス。2019年スタートの新興サービスながら、Cloudwards.netが選定する2020年ベストクラウドストレージで3位にランクインした有望サービスで、エンドツーエンドの暗号化に対応するほか、後発ということもありインターフェイスも洗練されている。無料版は容量10GB。Windowsで仮想ドライブとして使用するためのソフトも用意される。
Facebook連携が便利な「Koofr」
「Koofr」は、スロベニア発のオンラインストレージ。無料版の容量は2GBと多くなく、前述のCloudwards.netのランキングにも未エントリーだが、Facebookの「写真または動画のコピーを転送」の転送先にGoogleフォトやDropboxと並んで指定できる数少ないサービスの一つで、使い勝手そのものは良好。DropboxやOnedrive、Googleドライブと接続してオールインワンでファイルを検索できる機能は珍しい。
暗号化や二要素認証に対応する「Sync」
「Sync」は、アメリカ発のオンラインストレージ。エンドツーエンドの暗号化に強みを持つほか、二要素認証など、無料版でも充実した機能が利用できる。無料版の容量は5GBで、紹介プログラムでユーザ1人ごとに1GBの容量が追加できる(上限20GB)。名称が類似したスマホアプリが多数あり紛らわしいため、特にAndroidアプリは公式サイトを経由してストアのダウンロードページにアクセスすることをオススメする。
14日間なら会員登録ナシで使える「MediaFire」
「MediaFire」は、アメリカ発のオンラインストレージ。サービス開始は2006年と、Dropbox(2008年創業)よりも歴史は古く、それゆえUIデザインなどは全体的に古めかしい印象。容量は10GB、いくつかの条件をクリアすると50GBまで容量を増やせる。14日間限定とはいえ会員登録なしで利用できるのはほかにない特徴。本稿執筆時点ではiOSアプリの配布が停止されており、iPhoneからはブラウザを使っての利用になる。