SeagateのNAS向けHDDシリーズ「IronWolf」から、これまでで最も大容量モデルとなる18TBの製品が発売されました。企業やクリエイティブ系のプロユーザーを想定したデータストレージ向けの、ちょっと特殊な製品です。今回はこれの実機を試す機会があったので、ざっとパフォーマンスをチェックしてみました。
一般ユーザーにとってはPCI Express接続が主流になりつつあるストレージ製品の中で、インタフェースにSATA 3(6Gbps)を採用する3.5インチHDDにはどんな利点があるでしょう。転送速度の性能ではSSDに及ばず、ここまで大容量のフラッグシップモデルともなると1TBあたりの容量単価も4,500円程度になり、あまり安価とも言えません。
しかし、こういった単体での大容量ストレージ製品は、そもそもの端子数が限られるNASなどでは非常に有用です。2ベイしかなくても最大36TBのボリュームを構成でき、RAID 1で使用しても最大18TB。実際はフォーマット形式などによって利用できる容量はもう少し減りますが、それでも大きな記憶容量を使用できることは魅力的です。
さっそく今回試用したIronWolf Pro 18TBをWindows 10搭載PCに接続したところ、ディスクは未割り当て状態で1,6764GB使用可能でした。これをNTFS形式でフォーマットしたところ、実際に使える容量は16.3TBと認識されました。
「CrystalDiskMark 8.0.0」と「ATTO Disk Benchmark 4.00」、参考までに「HD Tune Pro 5.75」を用いて、かんたんにパフォーマンスをチェックしてみました。なお、HD Tune ProのWritingテストは相性によるものかエラーでうまく動かず、パーティションをクリアしたり、フォーマットを実行してもエラーを解消できなかったので、Read時の結果だけを記しておきます。
「CrystalDiskMark 8.0.0」
「ATTO Disk Benchmark 4.00」
「HD Tune Pro 5.75」
読み込み速度、書き込み速度ともにデータシートでの「最大連続データ転送速度」公称値260MB/秒を上回る良好な結果に。ランダムアクセスの速度もHDD製品としては一般的な値となっています。「ATTO Disk Benchmark 4.00」を用い、データサイズによるシーケンシャルアクセス影響を確認したところでは、8KB以上のデータでは書き込み速度に大きな差は見られませんでした。動作音もあまり大きくなく、ランダムアクセス中は多少シーク音のようなものが聞こえましたが、シーケンシャルアクセス中はほとんど気にならないレベルです。
18TBといえど、HDDは2台以上で使いましょう
転送速度は実用十分で、単体で18TBもの大容量ともなると、これ1台であらゆるデータを集約できそうです。しかしストレージ製品はいつの日か故障してしまう消耗品の一種で、しかも物理的に動くパーツを抱えたHDDは中でも壊れやすい部類。SeagateのNAS向け高耐久モデルとして、平均故障時間1,200,000時間(MTBF)という極めて高い信頼性を備えていますが、カタチあるものはいつかは壊れてしまうもの。大容量だからと過信して、1台にまとめてしまうと18TBものデータが一度に消失してしまいます。2台以上を同時に運用し、冗長性を高める工夫も重要です。