Intelは日本時間で10月30日の午前0時、突如Rocket Lakeに関するPreviewを公開したので、その内容をお届けしたい。

「Rocket Lake」(開発コードネーム)は、デスクトップ向けの第11世代Intel Coreとして開発中の新たなCPUで、10月8日、IntelはTech Blogの中でこれについて初めて言及した。もっとも公開された情報は僅かであり、"With that said, I’m also happy to confirm that the next generation 11th Gen Intel Core desktop processors (codenamed “Rocket Lake”) is coming in the first quarter of 2021 and will provide support for PCIe 4.0."でしかない。要するに

  • 2021年第1四半期にリリースされる
  • PCIe Gen4をサポート

の2つだけだ。ただZen 3ベースのRyzen 5000シリーズの発売が近づくにあたり、もう少しカウンターパンチを浴びせる必要があると判断したのだろう。もう少し細かい話が公開されることになった。

さて、今回公開されたのは以下の情報だ(Photo01,02)。

  • IPCは10%以上向上
  • GPUはこれまでのIntel UHDに代わり、X^eが搭載
  • CPUよりPCIe Gen4が20レーン出る
  • 更にOverclocking性能を高めた
  • Intel Deep Learning Boost及びVNNI(AVX512 Vector Neural Network Instructions)のサポート
  • USB 3.2 Gen 2x2をサポート
  • Intel 500チップセットが登場
  • Photo01: ちなみに"New"は現行のComet Lake-Sからの相違であって、Ice Lake/Tiger Lakeからの相違ではない(例えばDeep Learning BoostやVNNIのサポート)。

    Photo01: ちなみに"New"は現行のComet Lake-Sからの相違であって、Ice Lake/Tiger Lakeからの相違ではない(例えばDeep Learning BoostやVNNIのサポート)。

  • Photo02: 他にDisplay解像度の向上も挙げられている。ただTiger Lakeでは8K60fpsのPlaybackが可能だったが、そこまではサポートしない模様。

    Photo02: 他にDisplay解像度の向上も挙げられている。ただTiger Lakeでは8K60fpsのPlaybackが可能だったが、そこまではサポートしない模様。

まずCPUコアであるが、これはTiger Lakeと同じWillow Coveベースである。ただWillow Coveは10nm SuperFinプロセスを前提にしたコード名であり、一方Rocket Lakeは14nmベース(14nm+++か?)である。このため、コード名をCypress Coveと改めている。このCypress CoveはTiger Lakeと同じ構成だから、Comet Lake比で言えば20%近い性能改善が見込まれる。もともとIce Lakeで平均18%のIPC改善と説明されており、Tiger Lakeではこれをベースにキャッシュ周りの改善を施しているから、それなりに性能改善は期待できるだろう。またPhoto01には入っていないが、ついにDDR4-3200をサポートしたのも一応変更点であろう(Comet LakeはDDR4-2933まで)。

GPUについてはX^eは確定である。恐らくはX^e LE(Xe LE)であろうただEU数(Intelの用語で言えばSubslice数)がどの程度かは今回明らかにされていない。性能で言えば50%改善とされるから、2 Subslice/32EUあたりではないかと思う。

PCIeもついにGen 4対応になったが、それよりも大きな違いは、CPUから20Lane(DMI用はまた別)が出る様になったことだ。これでDiscrete GraphicsとM.2 NVMe SSDをどちらもPCIe Gen4で接続できるようになった訳で、このあたりはRyzenに追いついた格好だが、問題はこの追加のx4レーンが現在のIntel 400チップセット搭載マザーボードではサポートされていない事だろう。なので、Rocket Lakeの機能をフルに生かすには、Intel 500シリーズチップセット搭載マザーボードが必須となった形だ。

Overclockingについては、現状では良くわからない。こちらは製品が登場する前後にもう少し細かい情報が出てくることを期待したい。

Deep Learning BoostとVNNIは、どちらもIce Lake世代から搭載されていた機能である。Xeon及びノート向けが先行し、Desktop向けは遅れていたが、これでやっとそろった格好だろうか。

USB 3.2 Gen 2x2はちょっと意外というか、USB 4.0じゃないんだ、という気分ではある。ただ、USB 4.0のコントローラは結構巨大になる。既にTiger Lakeでは実装されているが、Rocket Lakeでは見送ったというあたりだろう。

ちなみに最大8コアとなるのは、CPUコアそのものがComet Lake→Cypress Coveでそれなりに肥大化するうえ、GPUもUHDからX^eに代わるなどして全体的にエリアサイズが増えている。なのでComet Lakeと同じ10コア構成にすると、相当ダイサイズが大きくなってしまう事を嫌ったのだろう。

出荷予定時期に関しては2021年第1四半期中、という話は特に変わっていない。とりあえずこのところ勢いのあるAMDに反撃できるかどうか、楽しみである。