凸版印刷、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)、QunaSysおよびISARA(カナダ本社)の4者は10月19日、高度な情報処理と安全なデータ流通・保管・利活用を可能とする量子セキュアクラウド技術の確立に向け、連携を開始すると発表した。

量子セキュアクラウド技術は量子暗号技術と秘密分散技術を融合し、データの安全な流通・保管・利活用を可能とするクラウド技術。同技術の確立により、改ざん・解読が不可能なセキュリティ性を担保するだけでなく、例えば、医療、新素材、製造、金融分野で蓄積された個人情報や企業情報など秘匿性の高いデータの収集・分析・処理・利用を可能とする。

  • 量子セキュアクラウド技術の実装イメージ

4者は具体的に、システム設計や仕様検討、最新の量子暗号技術の実装、秘密分散技術を利用したバックアップやデータ保管の実装、耐量子-公開鍵暗号によるデジタル署名の開発などで連携し、データ保管・交換基盤および耐量子-公開鍵認証基盤となる量子セキュアクラウド技術の確立を目指す。

また、NICTは戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)において、量子ICTフォーラム/量子鍵配送技術推進委員会やITU-T(国際電気通信連合/電気通信標準化部門)、ISO/IEC(国際標準化機構/国際電気標準会議)やETSI(欧州電気通信標準化機関)などの国際標準化組織へ、2022年度までにネットワーク要件、ネットワークアーキテクチャ、ネットワークセキュリティ要件、および鍵管理、量子暗号モジュールの評価・検定に関する提案を行い、国際標準化を推進していく。凸版印刷はICカードに関する知見を活かし、NICTの支援を行う。

4者は、2022年度中に社会実装に向けたアプリケーションソフトウェアの実証実験を開始し、2025年に限定的な実用化を、2030年にサービス化を目指す方針だ。