米Mozillaは8月25日(現地時間)、Firefoxの新バージョンとなる「Firefox 80」をリリースした。Firefox 79から4週間でのバージョンアップである。この間に、マイナーバージョンアップは行われなかった。

Firefox 80のインストール

すでに自動アップデートが可能な状況になっているが、ここでは手動でアップデートする方法を説明したい。Firefoxメニューの[ヘルプ]→[Firefoxについて]を開くと更新が自動的に開始される。[再起動してFirefoxを更新]をクリックする(図1)。

  • 図1 Firefox 80へのアップデート

    図1 Firefox 80へのアップデート

アップデート後のFirefox 80は、図2のようになる。

  • 図2 バージョン80にアップデート直後のFirefox

新規にFirefox 80をインストールする場合、FirefoxのWebページからインストーラをダウンロードする(図3)。

  • 図3 Firefoxのダウンロードページ

[今すぐダウンロード]をクリックし、保存したファイルをダブルクリックして、インストールを開始する(図4)。

  • 図4 Firefox 80のインストール

画面の指示に従い、インストールを進めてほしい。以下では、新機能や変更点のいくつかを具体的に見ていこう。

Firefox 80の新機能

新機能であるが、以下の通りである。

  • FirefoxをデフォルトのシステムPDFビューワーとして設定可能になった
  • 多層ツリーコントロールを伴うアクセシビリティツールによって通知される名前に、深いレベルのアイテムからの情報が含まれなくなり、スクリーンリーダーを使用する際に正しいレベルのコンテンツ情報がユーザーに提供される

PDFビューワーに関しては、PDFファイルのコンテンツメニューから[プログラムから開く]を選択すると、図5のようFirefoxを選ぶことができるようになった。

  • 図5 コンテンツメニューから[プログラムから開く]

さらにここから、[別のプログラムを選択]を選択すると、[その他のオプション]でFirefoxを選ぶことができる。

  • 図6 [その他のオプション]でFirefoxが選択可能に

ここで、[常にこのアプリを使って.pdfファイルを開く]にチェックを入れれば、システム既定のPDFビューワーとして、Firefoxを設定できる。

ほか主な修正や変更点は、以下の通りである。

  • AWSスクリーンリーダーの使用時に発生するクラッシュなど、スクリーンリーダーの使用中に発生するいくつかのクラッシュの問題を修正
  • Firefox開発者ツールにおいて、スクリーンリーダーのユーザーが以前はアクセスできなかったツールのいくつかを利用可能に
  • SVGタイトルとdesc要素(ラベルと説明)が、スクリーンリーダーなどの支援技術製品に正しく公開されるように
  • 片頭痛やてんかんを患うユーザーのために、モーション設定を制限するとタブローディングなどでのアニメーションの表示数を減らした
  • 新しいアドオンブロックリストが有効になり、パフォーマンスとスケーラビリティが向上

新機能を含め、スクリーンリーダー回りの機能追加、修正などが積極的に行われている。モーション設定は、Windowsでは[設定]→[簡単操作]→[ディスプレイ]の[Windowsにアニメーションを表示する]をオフにすることで制限することができる。

  • 図7 [設定]→[簡単操作]→[ディスプレイ]

また、開発者向けの変更点は以下のようになっている。

  • 開発者がMDNデータに基づいてブラウザーの互換性の潜在的な問題をよりすばやく特定できるように、試験的なサイドバーパネルをFirefox Developer Editionにインスペクターとして実装
  • ネットワークモニターの要求リストでは、待機時間のしきい値を超える「遅い」要求に対してタートルアイコンが表示される
  • RTXとTransport-ccをサポート。貧弱なネットワーク環境での通話品質を改善し、帯域幅の見積もりを改善した。これらの機能により、WebRTCを使用する多くのWebサイトとの互換性も向上する

リリースノートにもあるが、2020年9月22日のFirefox ESR 78.3のリリース前に重大なセキュリティ問題が発見されない限り、今回がFirefox 68 ESR系の最終リリースとなる(バージョンは68.12)。今後、Firefox 68 ESR系のユーザーは、Firefox 78 ESR系に自動的にアップグレードされる。Firefox 68 ESR系のユーザーは、改めて、必要な機能や動作の確認などを行っておきたい。

セキュリティアップデート

同時に行われたセキュリティアップデートであるが、修正された脆弱性はCVE番号ベースで10件である。深刻度の内訳は、4段階で上から2番目の「High」が3件、上から3番目の「Moderate」が4件、最低の「Low」が3件となっている。

深刻度「High」の3件は以下の通り。

  • Mozillaメンテナンスサービスへのダウングレード攻撃により、特権が昇格する可能性
  • 攻撃者が拡張機能のインストールを促すプロンプト(意図しない、もしくは悪意を持った拡張機能がインストールされる可能性)
  • Firefox 80およびFirefox ESR 78.2で修正されたメモリ安全性の問題

最高レベルの「Critical」はなかったものの、早めのアップデートをすべきであろう。