WordPressはCMS(Content Management System)市場で圧倒的なシェアを持っている。2位の10倍以上のシェアを持ち、Q-Successの調査によれば2020年8月の段階でインターネット全体の37.8%がWordPressを使っていることになる(参考:「WordPressとShopifyが増加、減り続ける非CMSサイト」)。このWordPressを巡ってこの数日間、ちょっとした混乱があった。

  • WordPress for iOS

    WordPress for iOS

事態は2020年8月22日にWordPressの開発者であるMatt Mullenweg氏による次のツイートで明らかになった。同氏は、iOS向けの「WordPress for iOS」アプリをアップデートしようとしたところ、規約違反としてアップデートができなくなったと報告したのだ。

  • WordPress for iOSのアップデートができなくなったと伝えるつぶやき - Matt Mullenweg氏

    WordPress for iOSのアップデートができなくなったと伝えるツイート - Matt Mullenweg氏

アップデートできるようにする条件は、.comプランに対するアプリ内課金を実装することとされている。Apple側のこの要求に対し、Matt Mullenweg氏は次のように前向きなメッセージを発信している。アプリストアを使用する時にこうした内容に関しては合意しており、ルールを遵守してAppleの求めに応じたいという内容だ。

  • Appleの要求に応えることに前向きな姿勢を見せるつぶやき - Matt Mullenweg氏

    Appleの要求に応えることに前向きな姿勢を見せるツイート - Matt Mullenweg氏

しかし翌日、事態は急展開する。Apple側がもう一度「WordPress for iOS」アプリについてレビューを行ったところ、アプリ内課金を実装する必要はないことが明らかになった、という通知があったというツイートが投稿されたからだ。

  • アプリ内課金を実装する必要はなかったとApple側から通知があったことを伝えるつぶやき - Matt Mullenweg氏

    「アプリ内課金を実装する必要はなかった」とApple側から通知があったことを伝えるツイート - Matt Mullenweg氏

「WordPress for iOS」はこれまでどおり、バグ修正や新機能の追加などを行ったバージョンが随時提供されていくことになるとされている。

このところ、Appleは大人気ゲーム「フォートナイト」のアプリ内課金に関する変更が規約違反だとして、同アプリのアップデートを停止する措置を取った。フォートナイトは世界中にユーザーを抱える大人気ゲームで、Appleとフォートナイトの開発元であるEpic Gamesの対立は多くのメディアが注目している。

WordPress for iOSの停止措置はフォートナイトの話題もあり多くのメディアで取り上げられた。Matt Mullenweg氏は今回の件に関し、悪い話は良い話よりも早く伝わっていくものだと指摘し、WordPress for iOSに特に問題がなかったことも伝えていってほしいと語っている。