前回の「ハッとしてR6、グッときてR5!」に続く、キヤノンのフルサイズミラーレス「EOS R5」「EOS R6」のレビュー後編。EOS R5/R6の撮影性能の高さを評価する落合カメラマンですが、同時に発表した2本の望遠レンズにも興味津々の様子。この価格とスペックなら描写性能やAF性能はそこそこ止まりだろう…と考えていたものの、よい意味で予想を裏切る性能を見せてくれたようです。
さて、キヤノン「EOS R5」と「EOS R6」の後半戦であります。
両機は、ミラーレス機としてトップレベルに立てるAFの動体追従性能を有しているのだけど、ともにメカシャッター(電子先幕時最高約12コマ/秒)よりも電子シャッターによる連写(最高約20コマ/秒)の方が動体に対する合焦率は上であるように感じられている。メカシャッターでは、連写中ブラックアウトするコマ間で、動体をつかんでいるピントが少しずつ外れていくような挙動が感じられることがあり、場合によっては「動体予測のわずかなズレが蓄積するかのように、ふわ~っと大ボケになっていく」ことも。
で、そうなることが多かったのは、少なくとも今回試用した個体においてはR5よりもR6だった。前編で「EOS R5の方が動体追従とピントの精度に関し確実性が上だった」といっていたのはそのため。確かな差が感じられている。
ゆがみは条件によってはまだ気になる
というワケで、動体撮影時は電子シャッターだけで攻めたくなってしまい実際、今回は9割方電子シャッターで撮っていたのだけど、そうすると気になってくるのが、いわゆる「電子シャッターゆがみ」ってやつ。EOS R5とEOS R6の電子シャッターゆがみは、従来よりは格段に抑えられているとはいえ、他社の「電子シャッター命!」の20コマ/秒モデルとの比較ではまだ物足りなさを覚えるレベルだ。
もちろん、何をどんな風に撮るのかによってその判定は異なるので、使用者それぞれがそれぞれのフィールドで確認すべきポイントではあるのだけれど、私の場合は人工物が背景になっている状態でカメラを大きく振りながら撮るようなシチュエーションでは、電子シャッターの使用には若干の躊躇いを感じるであろう手応えであると判断することになっている。でも、前述の通り電子シャッターを選択することの恩恵も大。要は、ケースバイケースで電子とメカの両方を積極的に切り替えろっつうことなのだろうけれど、少なくとも両機の電子シャッターは、サイレント撮影するためだけのものではないのは確かだ。
ちなみに、EOS R5とEOS R6のどちらの電子シャッターゆがみが小さいのかといえば、これが意外なことにEOS R5であるように感じられている。そんなに大きな差があるわけではないのだけど、画素数の違いを考えるとR5のセンサー&処理系が発揮している“スピード”は圧倒的であるように思える。イメージセンサーのデバイスとしてのグレードは、なんだかんだいってもEOS R5の方がはるかに上なのだろう。
それが実勢価格の差に反映されていると考えるならば、動体追従時のAFの動きやシャッター耐久の差(EOS R5が50万回でEOS R6が30万回)などを含め、両者の間には価格差にすんなり納得できる違いがたしかにあるといえる。似て非なるのは、ボディ上面の操作系や使えるメモリーカードの種類、シンクロソケットの有無、搭載するWi-Fiの仕様、8K動画が撮れるかどうか……だけじゃないってことなのだ。