NECと米BostonGeneは7月21日、NECが実施する治験のがん患者を対象とした分析において協業すると発表した。同協業はNECのAI技術と、BostonGeneの分析ツールをがん免疫療法に適用するものであり、臨床試験中や終了後に、治療効果の改善に向けて患者のがん分子特性を提供することを目的としている。

同協業においてBostonGeneは、NECやNECのパートナー企業が指定するさまざまな種類およびステージのがん患者の、がん分子プロファイリングと微小環境の分析を行う。

具体的なBostonGeneのソリューションは、次世代シーケンシング(※1)により患者のがん腫瘍から得られるゲノムやトランスクリプトーム(※2)情報を、同様の診断を受けた患者群からなる参照コホートデータ(※3)と統合し、腫瘍と腫瘍微小環境の活動を同時に分析する。

また同ソリューションは、すべての重要な体細胞変異、タンパク質発現、腫瘍の促進および抑制プロセスの活動、腫瘍微小環境の細胞組成、腫瘍の不均一性、腫瘍のクローン性、遺伝的素因、ウイルスの侵入、薬理ゲノミクス(※4)、およびその他分子的特徴を特定するという。

NEC 執行役員 藤川修氏は「高度な患者分析ソリューションを提供しているBostonGeneとの協業は、がん患者さんの回復を目指すというNECのミッションを示すものです。BostonGeneのデータ分析プラットフォームとNECのAI技術を組み合わせて、がん患者さんの治療オプションを進化させる取り組みを加速します。」とコメントしている。

(※1)ゲノム(遺伝子、DNA)の塩基配列を高速に解読する方法
(※2)ゲノム情報をタンパク質情報に翻訳するメッセンジャーRNAの総体のこと
(※3)目的に応じ特定の条件で集めた患者群などから得られるデータ
(※4)ゲノム情報に基づいた薬や治療法の開発で、医薬品などの作用と患者個人の遺伝子特性との関係性を研究する学問のこと