ダイソンは6月22日、コードレススティッククリーナーの新製品「Dyson Digital Slim」シリーズを発表しました。新製品の特徴は、ダイソンのフラッグシップモデル最新機種「Dyson V11」と同等の使いやすさとパワーを持ちながら、40%の軽量・小型化に成功しているところ。発表会で実際に製品を触ることができたので、詳細をお届けします。
フラッグシップモデル「V11」の使い勝手とパワーを継承したスリムモデル
「Dyson Digital Slim」(以下、Digital Slim)は、名前の通りダイソンの通常モデルよりも小型・軽量な「スリムモデル」の新製品。このスリムモデルは、日本の狭い住宅事情や「家中しっかりと掃除したい」というニーズに合わせて開発されています。
コンパクトで小回りの利くヘッドや、高い場所を長く掃除しても腕が疲れにくい軽量さが特徴のシリーズです。2019年には、「Dyson V7 Slim」、「Dyson V8 Slim」が発売されています。
このうちV8 Slimは、2016年発売のV8シリーズをもとに開発されているのに対し、今回のDigital Slimは、ダイソンの最新コードレススティッククリーナーのフラッグシップモデル「Dyson V11」がベース。つまり、Digital Slimは軽量・コンパクトなモデルでありながら、ダイソンの最新・最高級モデルの使いやすさとパワフルさを継承しているのです。
実際にDigital Slimを試用してみると、軽くなって長時間の掃除がラクになった以外にも、多くの使いやすさがあることがわかります。特に便利に感じたのは、Dyson V11から搭載された液晶ディスプレイの存在。
液晶ディスプレイでは運転モードを3種類から変更できるほか、運転中にバッテリー残量も表示します。このバッテリー残量は1秒単位でカウントダウンされるため、コードレス掃除機で気になる「あとどれくらい掃除できるか」がとてもわかりやすいのです。
ヘッドが薄くコンパクトになったことで、より小回りが利くようになったほか、家具の下なども掃除しやすくなりました。さらに、ヘッド裏のデザインを改良することによって、壁際ギリギリのゴミも掃除しやすくなったといいます。
個人的に気に入ったのは、本体のハンドル形状。従来モデルよりもハンドル部分が少し。細くなり、握りやすくなったように感じます。また、ダイソンのコードレスクリーナーは「トリガーを引いている間だけ運転」するのが特徴ですが、トリガーの形も指が引っかかりやすい弓形になりました。
軽さとパワフルさを求めるために本体形状から開発しなおした製品
実は、たとえばV8 Slimは、本体形状はほぼ従来のDyson V8のまま、パイプやヘッドを改良することで軽量・コンパクト化を図っていました。しかし、今回のDigital Slimは「V11のパワフルさを犠牲にすることなく軽量コンパクトに」という課題のため、モーターから本体形状まで、一からデザインしています。なんとDigital Slimの開発には約2年かかったそうです。
新製品の発表後、ダイソンでフロアケア製品の開発部責任者を務めるウィル・カー氏と、Digital Slimの開発全般をリードしたコードレス掃除機部門のデザインマネージャーであるトング SS氏とオンラインでつながり、詳しく聞くことができました。
まず注目したいのが本体形状です。従来はモーターやサイクロンパックが入った本体部分が2つのパーツに分かれていましたが、Digital Slimでは一体型に変更。これにより、シールなど一部のパーツをなくすことができ、本体の軽量化に貢献しています。
心臓部ともいえるモーターも小型化。Dyson V11と同じく毎分最大120,000回転するモーターを採用していますが、こちらもDyson V11のモーターよりもコンパクトに再設計したDyson Hyperdymiumモーターです。コンパクトながら高速回転に耐える剛性を確保するため、シャフト部分にはスチールの約3倍の硬度というセラミック素材を採用しています。
本体形状はもちろん、モーターからヘッドまでさまざまな試行錯誤によって、コンパクトで軽量、だけどパワフル……を実現したDigital Slim。ウィル・カー氏は「Digital Slimはコンパクト軽量で疲れにくく、小回りが利くなどのメリットがありますが、一方でDyson V11はダストビンが大きくゴミ捨ての回数が減らせる、ヘッドが(Digital Slimと比較すると)大きいので、一度に掃除できる面積が大きいなどのメリットがあります。どちらがより良いということではなく、家庭に合ったモデルを選んで欲しい」とコメントしました。