昨今はミラーレスが話題の中心ですが、デジタル一眼レフも根強い人気を誇ります。一眼レフの定番シリーズとして知名度の高いキヤノン「EOS Kiss」シリーズの最新モデルとして6月下旬に登場するのが、エントリーモデル「EOS Kiss X10i」です。誰でも扱いやすいレンズ交換式カメラの代名詞ともなった“Kiss”ですが、本機もエントリークラスとは思えないほどの高いスペックを誇ります。GWを挟んだ長い自粛を抜け、思い切り旅行や行楽を楽しむ人が増えるであろうこの夏にカメラの新調を考えている人に向け、早速その詳細を見ていくことにしましょう。
上位機種に近づいた操作性
基本的なデザインは、雰囲気こそ先代モデル「EOS Kiss X9i」と大きく変わりませんが、よく見ると細かな部分に違いを見つけられます。特に、ボディのエッジはよりシャープな直線で構成され、これまで以上にスマートな雰囲気になりました。ファミリーユースのみならず、趣味で積極的に使いたい写真愛好家にも好まれそうなボディシェイプです。ボディ単体の大きさは131(幅)×102.6(高さ)×76.2(奥行)mmで、高さがEOS Kiss X9iよりもわずかに高くなっていますが、質量は逆に17gほど軽い515g(バッテリー、メモリーカード含む)に仕上がっています。
操作性については、基本的なレイアウトは先代モデルを踏襲しつつ、Kissシリーズでは初めてAF-ONボタンとサブ電子ダイヤルを追加しています。これは、ワンランク上の「EOS 9000D」と同じです。
AF-ONボタンは、カメラを構えた際に右手親指で操作しやすい位置にあり、このボタンを押すとAFが作動します。ミドルクラス以上のEOSには以前から搭載されており、スポーツなど動く被写体を撮影するカメラマンに愛用者の多いボタンです。シャッターボタンの半押しでAFを開始する操作に親しんだユーザーは、AF-ONボタンを使った操作には慣れが必要かもしれませんが、このボタンを活用すれば子どもの運動会や走り回るペットの決定的瞬間もより狙いやすくなるでしょう。
サブ電子ダイヤルも、ミドルクラス以上のEOSに伝統的に搭載されているデバイスで、露出補正や再生画像の送りが直感的にできる便利なダイヤルです。ただし、ダイヤルが小さいためか、操作の際にダイヤル内側の十字ボタンを押してしまうことが多々あったのは気になりました。もっとも、コンパクトなKissのボディでは致し方ないのかもしれません。なお、これまでEOS Kissシリーズに搭載されていた露出補正ボタンは、当然ながら本モデルでは省略されています。
操作感として少し気になったのがAFフレームの選択です。AFフレーム選択ボタンを一度押したあとに十字キーで選ぶのですが、このボタンを押すワンアクションがあるため、素早く選択することが難しいように思われます。上位モデルのように、ボタン操作なしにマルチコントローラーでダイレクトに選択できるとよいのですが、カメラの大きさやコストなどで搭載は見送られたものと考えられます。とはいえ、今後メーカーには前向きに検討してほしいところです。