米AMDは現地時間4月21日、ローレンス・リバモア国立研究所(LLNL)とPenguin Computingと共同で、新型コロナウイルス(COVID-19)研究用HPC(High Performance Computing)マシン「コロナシステム」を強化することを発表した。LLNLは米国カリフォルニア州リバモアに所在するエネルギー省所有の国立研究所で、Penguin ComputingはLinuxベースのHPCソリューションを開発する米国企業。

  • AMD、新型コロナウイルスの研究用HPCにRadeon Instinct MI50を提供

    ローレンス・リバモア国立研究所で稼働する「コロナシステム」(Corona System)

AMDは今回の合意で同社のGPUアクセラレータ「Radeon Instinct MI50」を用いてコロナシステムをアップグレードし、4.5PTFLOPを超えるピーク演算能力で新型コロナウイルスとの戦いに貢献していくとする。強化された演算能力は低分子化合物とウイルスを構成するタンパク質との相互作用をシミュレーションし、抗ウイルス化合物の可能性を発見するために使用されるという。

コロナシステムはCOVID-19コンソーシアムを通じて利用できるHPCの中で、LLNLが保有する7台のうち最も計算能力が高いものの1つ。なおコロナシステムという名前は2017年にアメリカで広く観察された皆既日食にちなんで命名されており、Penguin Computingによって構築され、LLNLに納入されたHPCクラスターのこと。

システムに導入されるAMD Radeon Instinct MI50は、CPUとPCI Express4.0 x16で接続するデータセンター向けGPUアクセラレーター。2018年の発表当時は世界初の7nmプロセスGPUで、TSMCによって製造されたVega20アーキテクチャを採用する。VRAMに最大1TB/秒の帯域幅を持つHBM2 ECCメモリを搭載し、単精度で13.3 TFLOPSの計算能力を実現する。