日立キャピタル、旭化成ホームズ、シャープの3社は3月23日、業態を超えたオープンイノベーションによる暮らし関する多様なサービスを包括した「Life as a Service」モデルの構築を目指して、実証協働実施契約を締結したと発表した。IoTとAI(人工知能)を利用し、世代ごとに異なるライフステージに合わせた最適な暮らしのトータルサービスをサブスクリプション(定額制)で提供することを目的に、2020年4月に住まいのIoT化実証実験を開始する。

  • 実証実験で構築を目指すモデルの概略

今回の実証実験では、STEP1として、社宅にIoT機器を設置して協力会社のサブスクリプションサービスなどを提供する。単身者、DEWKs(共働きで子育てをしている夫婦)、シニアなど、進行するライフステージと共に変化する住まいや生活に合わせた新たな循環型サービスモデルの構築を図るという。

各社が連携して取得した入居者の生活データを、AI技術を用いて分析することで、世代別にカスタマイズした暮らしのトータルサービスを創出し、サブスクリプションで提供する。

「所有」ではなく、「共有・機能利用」を重視する価値観へと変化していく中で、「住まう」を軸としたサービスの提供により、空き家問題・少子高齢化・働き方改革などの社会課題を解決し、持続可能な豊かな暮らしの実現を目指すとしている。

期間は、2020年4月から半年間または1年間で、参加者ごとに設定する。参加者(入居者)は、日立キャピタルが募集した自社の単身社員10名。居住建物は、賃貸住宅である「へーベルメゾン」であり、間取りは1K、1DK、1LDKのいずれか。取得するデータは、食事、車、睡眠など、入居者による生活データ。

今回の実験において日立キャピタルグループは、サブスクリプションで提供するくらしのトータルサービスの構築に向けて既存の金融サービスの知見を生かし、同グループの持つ金融ノウハウと融合させたアセット管理、料金の回収・決済・管理などの提供を目指す。 STEP1では、実証実験の環境構築、生活データの収集・分析を行い、関連するサービスの開発を推進する。

旭化成ホームズは、独自のスマートホームサービスである「へーベルIoH」などを導入したヘーベルメゾンを提供し、そこで得た入居者の生活データの分析などを通して、ユーザー視点での新たな「LONGLIFE」なサービス・商品の開発を目指す。

シャープは、対象社宅に同社製のAIoT(AIとIoTを組み合わせたビジョン)家電を設置し、家電の使用データの取得や分析・連携を行うと共に、子会社であるSHARP COCORO LIFEがミールキットである「ヘルシオデリ」の宅配サービスを行う。

なお3社は、2020年度後半には実証実験STEP2として、生活者の対象をDEWKs世帯やシニア世帯に、またその住まいを戸建住宅へと広げることで、ライフスタイルの変化に合わせた暮らしのトータルサービスの検証を進める予定だ。