――ここからは、選手へインタビューさせていただきます。まずは簡単な自己紹介からお願いします。
kanarian:チームリーダーのkanarianです。「Crazy Cats Cosmo」立ち上げからの初期メンバーで、チーム運営にも携わっています。
coolit:coolitです。もともと1年前くらいに「Crazy Cats Cosmo」のセカンドチームに所属していたんですが、チーム移籍などを経て、このチームに戻ってきました。
kamitas:kamitasです。前シーズンは他チームでアナリストをしていたのですが、今シーズンから選手に復帰して「Crazy Cats Cosmo」に加入しました。
morimori:morimoriです。kanarianと同じく「Crazy Cats Cosmo」の初期メンバーで、このなかでは最年少です。
――ゲーミングハウスでの、1日のスケジュールを教えてください
kanarian:今のところスケジュールが決まっているのは、夜20時30分からスタートするスクリムと、そのあとに夜ご飯を食べるところまで。それ以外は、自主練習などそれぞれ自由です。
――ゲーミングハウスに住み始めて2週間ほどだそうですが、実際に生活をしてみていかがですか?
kanarian:家が広い!
coolit:本当にゲームしてご飯食べて寝るだけみたいな。ムダなことをしていないので、おもしろい生活だなと思っています。
kamitas:一人暮らしから共同生活になったので、誰かがいるっていいなと思います。
morimori:僕も一人暮らしだったので、まったく同じことを言おうとしました(笑)。最初は揉めることもあるかなと思っていたんですけど、皆それぞれ自分のことは自分でやるし、特に問題もなく、楽しいです。
チーム活動に本気で挑むための、選手たちの決断
――この生活をするにあたって、皆さん学校や仕事などいろいろな決断があったと聞きました。それぞれどのような決断をされたのか、教えていただけますか?
kanarian:僕は2年前に代表と一緒に「Crazy Cats Cosmo」を立ち上げたときに、このチームを大きくすると決めたので、ゲーミングハウスでの生活が始まっても、まだまだ全然満足していないですし、やれるところまでやりきると覚悟を決めています。
coolit:1年半くらい前から本格的に競技シーンでの活動を始めて、そのころに学校を休学しました。家族を含め、まわりからはいろいろ言われたんですけど、全員説き伏せて最終的には学校を辞めています。1つのことしかできないタイプなので、20代前半の無茶できるときに無茶しようかなと。
kamitas:僕は仕事を辞める決断をしました。今はまだ働いているんですけど、来月に退職が決まっていています。大きな決断なので悩みましたが、やるからには本気でやりたいので。家族にも理解してもらっています。「借金しないならいいよ」と(笑)。20代半ばなので、まだ失敗できるというか、今しかないと思いました。
morimori:自分は今、大学を休学しています。両親や大学の先生と相談して、まずは1年休学することを了承してもらいました。それからちょうど1年経ったので、ゲーミングハウスのことを含め、親に改めて自分の意志を伝えて、もう1年休学してチーム活動に専念しているところです。
――皆さん、かなり重い決断をされていますね……!
coolit:何かを本気でやるためには、何か捨てないといけないと思っていますので。
morimori:自分の親は、この活動を理解してサポートしてくれています。大学の先生にも「休学して挑戦してみたら」と背中を押してもらえました。まわりの人たちに支えられていると感じます。
kanarian:ゲーミングハウスに住んで、この24時間垂れ流し配信をするために、3~5年くらい人生を捧げてくれと伝えて集めたメンバーなので、覚悟が違います。ただゲームだけをして、ゲームが強ければいいというチームではなくて、プライベートも全部さらけ出してやっていくと話しているので。
――ずっと配信カメラが付いているという特殊な環境ですが、どのように感じていますか?
kanarian:配信されているのは、家の広さから考えるとごく一部。各自の部屋もあるし、きちんと切り分けできているかなと思います。
coolit:プライバシーがないなと思う部分もありますね(笑)。でも、チームがやると決めたことに、僕は従うだけです。
kamitas:僕も同じく、プライバシーはないなと思いながら(笑)。とはいえ、もともとずっとパソコンの前にいるか、あとはベッドにいるような生活なので、正直そんなに気になりません。配信コメントを見ておかなきゃという意識が頭の片隅にあるぐらいですね。
morimori:自分たちの活動って、見られるのが仕事じゃないですか。プレイもそうだし、こうやってインタビューを受けたり、大会に出たり。特にGrade1に出ていたシーズンは、オフライン会場で見られる機会もあったので、結構慣れてきたなと。だから、特に嫌だとは思わないですね。
実は貧乏生活? 選手として活動しながらの生活は?
――先ほど、実は給料制ではないというお話を伺いました。とすると、皆さんどうやって生活しているのかなと気になってしまうのですが……。
coolit:僕は切り崩せるものが何もありません。江戸っ子なので、宵越しの銭は持たない(笑)。
kanarian:その日暮らしの人もいるし、貯金がある人もいるし、両親のサポートがある人もいるし、という感じですね。ちなみに、僕は秘密です。
kamitas:皆のこと言っておいて、自分だけズルいな(笑)!
coolit:こいつだけ謎なんですよね。
kanarian:皆、それぞれ身を削っていることには変わりないです。
coolit:Amazonの「欲しいものリスト」から食料を送ってくださるファンの方もいるので、ありがたく頂戴しています。
morimori:こんなにたくさんご支援いただけるとは思っていなかったですね。
――ゲーミングハウスに住んで同じ空間で練習するようになって、今までと違いを感じる部分はありますか?
kanarian:ボイスチャットだけでやり取りしていた環境とは全然違って、目の前にいると相手が思っていることを感じ取りやすくなります。コミュニケーションが円滑になるのが、一番いいところですね。
coolit:やっぱりボイスチャットだけだと、声色でいろいろと気にしちゃうんですよね。顔が見えるとそういう部分がなくなるので、ストレスは減っていると思います。
kamitas:僕も同じで、人の顔を見て話すのってすごくわかりやすいんですよね。言葉にはしていない感情も見えてくるので、そこがいい方向に変わりました。
morimori:Grade1では試合がオフラインだったので(※)、試合の前後にはお互い顔を見て話します。すると、味方が落ち込んでるとか、感情が伝わるんです。特に大会は、メンタル面が大きく影響すると思うので、顔を合わせたコミュニケーションの大切さを感じます。
※PJSでは、これまでGrade1の試合はすべて都内オフライン会場で行われていた。現在は、一部の日程のみオフライン。Grade2は従来と変わらず、すべての試合をオンラインにて実施する。
――今シーズンから、このゲーミングハウスで大会に出場されていると思います。Day1を振り返って、感想を教えてください(本インタビューは、Season5 Day1のあとに実施しました)。
kanarian:前に住んでいた家より、ネット環境やPCスペックはかなりハイレベルなものがそろっているので、プレイ面でも成果が出せたんじゃないかと思います。
coolit:『PUBG』は、PCスペックが必要なタイトルじゃないですか。そういう意味では、お金をかけるほど強くなる“Pay to Win”の側面もあるので、この環境を作ってもらったことに感謝しています。と同時に、結果を出さなければいけないと常に感じています。
kamitas:個人的には、Day1の初戦にエラーで落ちて試合に入れなかったんですけど、皆がプレイしている姿が見えているので、その点はよかったですね。もし自分の家から参加していたら、試合が終わるのを1人で待つだけになっていたので。ただ、試合の結果的には、全員もっと力を出せるはずなので、改善点はまだまだ多いでしょう。
morimori:トラブルはありましたが、雰囲気よくやれたので、円滑にコミュニケーションできたなと思います。でも、この環境を活かして、もっとコミュニケーションを深められると思うので、まだまだだなと。これからもがんばっていきたいです。
期待に応えるべく、再びGrade1の舞台を目指して
――それでは最後に、PJS今シーズンの意気込みや目標を教えてください。
kanarian:まずはGrade1へ上がること。今シーズンは従来と違って、Phase1で昇格してPhase2で1位を取れれば、国際大会に行けるんですよ。このチャンスを活かしたいと思っているので、それに向けて全力で取り組んでいきたいと思っています。
coolit:やっぱりGrade1に上がらないと、土俵に立っていないも同然なので。まずはGrade1の舞台に立って、そこからかなと思ってます。
kamitas:チームとしては、やはりGrade1への昇格ですね。個人としては、PJSを観てくださっている方々に、もっと知ってもらえるような存在になりたいと思っています。
morimori:チームではGrade1に行くのが目標で、個人的にはメンタルを鍛えたいです。『PUBG』はすごくメンタル面が影響するゲームなので。それから、この活動で安定した収入を得られるようになるために、チームとしてもっと上を目指したいです。
――今後の活躍を応援しています。「Crazy Cats Cosmo」の皆さん、本日はありがとうございました!