ショップジャパンの「ツインシェフ」は、2つの鍋でごはんとおかずが1度に調理でき、蒸しトレイを使えば同時に4品作ることも可能な調理家電で、SNSでも大きな話題になったアイデア商品だ。これまでは、1つの鍋で最大2品というものがほとんどだったが、材料を入れてボタンを押すだけで最大4品まで料理ができる。

  • ショップジャパンの衝撃作「ツインシェフ」

前回の「あの『ツインシェフ』を使った カレーとごはんは満足できる!?」では、ツインシェフの基本的な使い方を紹介したので、今回はさまざまな調理に挑戦してみたい。温度管理が難しいローストビーフや温泉卵、準備が面倒な魚の蒸し料理、ごはんを同時に炊いた中華丼、火加減を失敗すると焦げ付いてしまうシチュー、水っぽくなりがちな炊き込みご飯など、いろいろな料理を作ってみた。

現在販売されている電動調理鍋や電気圧力鍋は、1台で数万円というものが多いが、ツインシェフは自動調理鍋が2個合体しながら2万円を切っている。そのため「ちゃんと調理できるのか?」という不安がある。その点を検証してみたい。

  • ツインシェフには、内鍋が2つ、蒸しトレイが2つ付属している

調理温度と時間を設定でき、ローストビーフと温泉卵も同時に調理

ツインシェフは、調理内容別のクイックメニューが搭載されている。白米炊飯・玄米炊飯・炊き込みご飯・雑炊・おかゆ・スープ・煮込み料理・蒸し料理・ケーキ・ヨーグルトの10種類だ。それぞれのメニューに合わせた最適な火加減と時間がプリセットされているが、注目したいのは「手動調理」だ。

調理温度は35~135度まで1度単位で設定でき、調理時間は1分~12時間まで設定できる。数万円する電動調理家電でも、温度を1度単位で設定できるものは少ない。しかも、左右の鍋で別々に設定して調理できるので、片側で手動調理、片側で自動調理と分けることができる。そこで今回は、手動調理でローストビーフを作りながら温泉卵を作った。どちらも取扱説明書にあるレシピメニューを参考に調理した。

  • 温度調整が難しいローストビーフ(左)と温泉卵(右)

牛もも肉(約300g)を常温に戻し、塩胡椒をすり込んでから、赤ワインや玉ネギ、にんにくと一緒にチャック付きポリ袋に入れて空気を抜く。手動調理で調理時間を3時間、57度に設定し、できあがりを待つ。

一般的な自動調理鍋では、ローストビーフのように3時間もかかる調理をしてしまうと他の調理はできなくなってしまうが、ツインシェフならもう片方は空いているので、別の料理ができる。今回は温泉卵を作ってみた。手動で1時間、68度で設定した。

  • 1度単位で温度調整ができるのは便利!

できた温泉卵は、白身も黄身もとろりとしていて、少し柔らかめ。もう少し硬めのほうがいいかなと思ったが、あら熱がとれるまで置いておいた温泉卵はちょうどいい硬さに仕上がっていた。時間や温度は自由に調整できるので、好みに仕上げられるのは便利だ。

  • できあがった温泉卵。フタを開けて蒸気は立ったが、沸騰はしておらず、気泡が見える

  • とろりとした温泉卵のできあがり!

ローストビーフはちょうどよいピンク色になった。火の通り方は文句なしで、火加減のコントロールが上手くいっていることが分かった。スーパーの安い牛もも肉を使用したが、温度調整をする必要もなく、放ったらかしで本格的なローストビーフができるのは嬉しい。

  • 耐熱性のチャック付きポリ袋に入れて3時間待つ。放ったらかしなのでラク

  • 見事なピンク色!

面倒な蒸し料理もカンタンに美味しくできる

一人暮らしなどの少人数世帯での「蒸し料理」は、蒸し器などの準備も含めてハードルが高いが、ツインシェフがあればカンタンにできる。レシピメニューにある「鯛の酒蒸し」に挑戦してみた。材料は鯛と塩、昆布のみ。内鍋に2カップ以上の水を入れ、蒸しプレートに昆布を敷いた上に鯛を乗せ、酒を振ってセット。自動メニューにある「蒸し」を選択し、調理開始。蒸しトレイは深さがあるので、分厚い身や頭の部分を入れることができる。

  • 内鍋には水を入れた

  • 2つの鍋を同時に使用し、4切れを蒸した。蒸しトレイには、厚めの切り身を2切れまるまる入れられた

  • 完成! 見た目にもジューシーな仕上がり

  • ふっくらしていて美味しい

蒸した鯛は、ジューシーでふっくら。鯛の美味しさを引き出し、つまみにも合う。さっぱりしたものを食べたいときにもぴったりで、家族にも大好評だった。鯛だけでなく、他の白身魚でもできる。

今回は4切れあったので、左右両方の鍋を使って調理した。調理するメニューが少量の場合は片方だけ、友達がきてたくさん作りたい場合は両方使って調理、といった使い方ができるのは便利だ。

ごはんを同時に炊いて中華丼を作る

片方でごはん、片方で八宝菜を作り、中華丼風にしてみた。ごはんは2合炊飯し、八宝菜は2人分。豚バラ薄切り肉、冷凍むきえび、野菜と調味料を入れ、手動で30分、100度に設定して調理した。

  • 中華丼もカンタン!

八宝菜側の鍋が終了したので開けてみると、上に乗せた肉とむきえびはまだ火が通っておらず、下の野菜の部分は火が通っていた。豚肉やむきえびは温度が低く、調味料に浸かっていなかったので半煮えの状態になっていたようだ。ヘルシオ ホットクックのようなかき混ぜ機能はないので、途中で一度かき混ぜると早く仕上がることが分かった。電気圧力鍋とは違い、ボタンを押せばサッと途中でフタを開けられる。中を見たり、かき混ぜられるのは便利だった。

  • できたと思ったら、上の肉とむきえびが生煮え……。途中でいったん混ぜたほうが早くできる

できあがってももう少し調理したい場合、「延長」ボタンがあればラクだが、残念ながらそのような機能は搭載していない。同じ条件で手動設定し、15分ほど追加で煮込んだところ、完璧な八宝菜ができあがった。

片方で炊き上がったごはんをよそって、もう片方の八宝菜をその上にかける。野菜がたっぷりで栄養満点の中華丼が完成した。レシピメニューの通りに作ったが、野菜もシャキシャキしており、塩加減などの味付けもちょうどよい。

  • 炊き上がったごはんにかければ中華丼の完成。野菜たっぷり

炊き込みご飯もべたつかず、美味しく炊き上がる!

炊飯は消費電力が低いので、さすがに一粒一粒が立つ状態にはならないが、一般的なマイコン炊飯器と同じようなごはんの炊き上がりになる。2合で炊くと、もっちりと炊き上がった。

自動メニューに「炊き込み」モードがあったので、五目炊き込みご飯も作ってみた。鶏もも肉、ごぼう、生しいたけ、にんじんと調味料を入れる。

  • 必要な具材とごはんを入れるだけ。「炊き込み」モードがあるのでセットする

炊き込みごはんは、炊飯器によってはべたっとした仕上がりになることもあるが、べたつきもなく、ほっくりと美味しく炊き上がった。

  • ごぼうもシャキシャキ。美味しい!

一度の調理で立派な夕飯ができた!

今度は、ごはんを炊きつつ味噌汁を作り、蒸しトレイでおかずを作った。蒸しトレイには冷凍のシューマイ、かぼちゃ、ブロッコリー。味噌汁の具は白菜と油揚げにした。これだけあれば、ふだんの夕食でも十分ではないだろうか。

  • ごはんと味噌汁の材料をセット

  • その上に冷凍シューマイと根菜をセット

  • 完成! 同時に4品調理できる

  • 本日の夕飯に。1つの調理家電で同時に調理したとは思えない充実ぶりだ

一人暮らしの場合、ガスコンロが1つしかなく、さまざまな調理をこなすのが難しい場合もあるが、ツインシェフがあれば一度にさまざまな調理ができるので、「家で簡単な料理をしたい」という願いが叶えられそうだ。幅は41cmと広めではあるが、炊飯器としても調理器としても使えるので、別々に購入して並べるよりも設置場所は省スペースで済む。蒸し料理までできるので、とても魅力的な製品だと感じた。

次回の最終回は、シャープのヘルシオ ホットクックと比較する予定だ。お手入れ面や気になった点もレポートする。お楽しみに!

  • 最終回は、最強のライバル(?)といえるシャープのヘルシオ ホットクック(左)との違いについても紹介!

石井和美

著者プロフィール
石井和美

白物家電のレビューを行う家電プロレビュアー。 2018年より家電をレビューするためだけの一軒家「家電ラボ」を開設。自身でも「家電Blog」を運営する。