「左右2つの鍋でカレーとごはんを同時に調理できる」――というインパクトのある内容で大きな話題を呼んだのが、ショップジャパンを展開するオークローンマーケティングが発表した自動調理鍋「ツインシェフ」。19,800円(税別)というお手ごろな価格もあって、ショップジャパンでは入荷待ちの状態が続いているほど。「ホントに使えるの!?」という疑問に答えるべく、家電のプロレビュアーとして知られる石井和美さんにレビューしていただきました。

あのツインシェフがやってきた!

2019年は、さまざまなメーカーから電気圧力鍋が相次いで発売された。43年前から電気圧力鍋を販売している草分け的存在のパナソニックもリニューアル。自動調理鍋「ホットクック」を発売しているシャープも、少人数用のコンパクトなタイプを発売。共働き世帯が増え、料理に手をかけられないが栄養のあるものを家でゆっくり食べたい……という世帯のニーズにマッチした電気調理鍋や電気圧力鍋は、現在注目されているジャンルの家電といえる。

ほったらかしで調理ができる調理家電が続々と発売されるなか、すい星のごとく現れたのが、ショップジャパンの「ツインシェフ」である。2つの鍋でごはんとおかずが1度に調理でき、蒸しトレイを使えば同時に4品作ることも可能だ。これまでは、1つの鍋で最大2品という製品がほとんどだったが、ツインシェフは材料を入れてボタンを押すだけで4品まで料理ができる。蒸しトレイは周囲にスリットが入っており、下の内鍋に入れた水や食材からの蒸気が上に回るようになっている。

  • すごいインパクトの「ツインシェフ」。4品まとめて同時調理ができる

    すごいインパクトの「ツインシェフ」。4品まとめて同時調理ができる

  • 横幅は41cm。ちょっと大きめだが、自動調理鍋を2つ並べるよりは小さい

  • 背面。上蓋のヒンジ部分が見えている

  • うれしいのは、電源コードが1本なので電源が1つで足りるところ

調理内容別のクイックメニューは白米炊飯、玄米炊飯、炊き込みご飯、雑炊、おかゆ、スープ、煮込み料理、蒸し料理、ケーキ、ヨーグルトの10種類を用意している。いずれも、それぞれのメニューに合わせた最適な火加減と時間がプリセットされている。

調理温度と時間は手動での調整も可能。温度は35~130度まで、時間は5分単位で1分~12時間で、保温機能や温め直し機能も搭載している。内なべにはフッ素コーティングが施されているが、お米を内鍋で洗うことはできない。

調理家電を2つ並べるよりも場所をとらない

ツインシェフで同時調理できるメリットは、なんといっても場所をとらないこと。ツインシェフのサイズは幅410mm×高さ210mm×奥行300mmで、一見大きく見える。しかし、ヘルシオ ホットクック(2.4L)は幅が395mmもあり、その差はたった15mm。2台並べるよりも省スペースで済む。

幅を抑えられた工夫は、内鍋の構造だ。容量1.8L(満水容量は2.5L)の内鍋が2個付属しているが、それぞれの鍋は円ではなく「D」の形をしているのがポイント。それぞれ、直線部分を向かい合わせるようにしてセットするため、丸い形の内鍋をそのまま2つ並べるよりも横幅がコンパクトに収まるのだ。最近はキッチン家電も増え、置き場所や電源問題で悩む人も多いが、同時に4種類の調理ができて電源が1つで済む、というのはうれしい。

  • 内鍋と蒸しトレイをセットした状態

  • 内鍋をセットした状態

  • 内鍋はDの形をしている

さらに、同じ形状で底が浅い蒸しトレイ(600mL)が2個付属している。上に蒸しトレイを置くことで、炊飯や調理をしながら野菜やシュウマイなどを蒸すことができる。ただし、ヘルシオ ホットクックのような攪拌機能はない。

  • 蒸しトレイも2個付属。周囲には、蒸気を通すためのスリットが入っている

  • しゃもじ、おたま、計量カップも付属

  • ヘルシオ ホットクック(左、2.4L)と比較。実は15mmしか横幅に差がない

消費電力は合わせて900W、ごはんは美味しく炊けるのか?

白米は4合まで、玄米は3合まで炊飯できる。仕様書を見て気になったのが消費電力だ。合わせて900Wで、片側だと450Wしかない。同じ4合炊き炊飯器の場合、象印の高級モデル「炎舞炊き NW-ES07」は1140W。5合未満のエントリーモデルでも700W前後あるので、比較すると消費電力は低めだ。

一般的に、炊飯器は高い火力で一気に沸騰させることでうまみを引き出せ、甘みも増す。また、内鍋はある程度ゆとりがあるとお米が対流してふっくら炊き上がるが、ツインシェフの内釜は4合タイプとしては小さめだ。火力が弱く、内鍋も小さめなので、炊飯器として使用するのは少々不安を感じた。