喩(たと)えていうならキーボードは「インナーウェア」であり、フィット感や好みは人それぞれ、ブリーフ派もいればトランクス派もいて当たり前、というのが筆者の持論。その喩えでいうならHHKBは男気溢れる「越中派」(ふんどしの一種)、ミニマイズ的設計思想は使い手を選ぶから、人によってはテンキーがない、カーソルキーがない、ファンクションキーがない……と批判的に見るかも。だがそこがいい! という人にしか正直お勧めできない。
公式サポート外ではあるが使用可能
一方、フィーリングの部分から視線を移すと、新しい試みに目が留まる。背面に1基用意された「Type-C」ポートだ。Type-C接続で公式にサポートされる環境は、Windows 7 / 8.1 / 10とmacOS 10.12以降に限られるが、Type-C端子を備えるAndroid端末やiOSデバイスで利用できれば、新HHKBの可能性は大きく拡がる。やはり、ワイヤレスよりワイヤードのほうがレイテンシが発生しないぶん“指にしっくりくる”からだ。
まず、Android端末(Motorola Moto G6 / Android OS 9.0)で試してみたが、特に問題なし。日本語入力も[ALT] - [SPACE]でトグルできるし、ワイヤレス接続時にときどき(ごくわずかに)感じる引っ掛かりのようなものもない。
続いて試したiPad Proも、Type-Cケーブルでつなぐだけで準備完了、ハードウェアキーボードとして認識された。キーボード設定画面の「Caps Lockを使用して言語を切り替え」スイッチをONにしておけば、[Fn] - [TAB]で日本語入力をトグルできるので、[Control] - [SPACE]を使いたくないEmacsユーザにはありがたい。
一方、USB-C to Lightningケーブルで接続したiPhoneは認識されなかった。サポートされていない接続方法/デバイスなだけにやむを得ないが、iPhoneユーザはワイヤレス接続一択ということになる。
いずれのケースもメーカー非公認の接続方法で、サポートを期待することはできないが、HHKBをチョイスするほど道具にこだわりがある向きには、貴重な情報となるはずだ。
このType-C端子を追加したという部分には、変えてはいけない部分は変えず、時代の要請に応じるべき部分はそうするというメーカーの設計ポリシーを感じる。確かにワイヤレス接続は便利だが、入力のフィーリング / フィードバックの確かさに拘(こだわ)るユーザにはワイヤード接続は欠かせない。ワイヤレス接続にしても、マルチペアリングをサポートしてショートカットキーで切り替えできる配慮がある。長くともに暮らしたい1台だ。
新Happy Hacking Keyboardの主要スペック
Hybrid Type-S | Hybrid | Classic | |
英語配列モデル | ○ | ○ | ○ |
英語配列/無刻印モデル | ○ | ○ | ○ |
日本語配列モデル | ○ | ○ | × |
押下圧(g) | 45 | 45 | 45 |
ストローク(mm) | 3.8 | 4.0 | 4 |
キーピッチ(mm) | 19.05 | 19.05 | 19.05 |
Bluetooth | ○ | ○ | × |
USB | ○ | ○ | ○ |
キーマップ変更機能 | ○ | ○ | × |
サイズ(mm) | W294×D120×H40 | W294×D120×H40 | W294×D110×H40 |
重量(g)※電池含まず | 540 | 540 | 530 |
PFUダイレクト価格(税抜) | 32,000円 | 27,500円 | 23,000円 |