セールスフォース・ドットコム 代表取締役会長 兼 社長 小出伸一氏は、2020年の年頭所感を発表した。

2020年の年頭にあたり、謹んで新年のご挨拶を申し上げます。


日本は今年、国、企業、そして私たち個人、それぞれが果たすべき役割が問われる重要な一年を迎えます。国家的な事業として開催される東京2020オリンピック・パラリンピックでは、スポーツを介した世界平和の実現において日本という国の役割が試されます。一方企業(ビジネス)は、労働人口が減少する中、生産性向上や働き方の改革を地方創生に役立てると同時に、環境対策という喫緊の課題に対する役割を果たすとともに、AIやロボティックスをはじめとした技術革新に伴う利便性の向上に対する倫理的配慮という問題への対応も必要です。そして私たち個人ベースでは、上記のような課題への対応においてどのような働き方をするか、どのように生きるのか、平等という多様性を重視すべき社会にどう貢献するのか、など、新しい社会環境への対応が試されます。


このような環境において私は、セールスフォース・ドットコムという企業と、そこで働く一人ひとりの社員、ビジネスパートナー、その他のステークホルダー全員が、時代に合わせた価値観を共有し社会の変化を起こすことが求められているのではないかと考えます。そして本年は日本にとっても、セールスフォース・ドットコムにとっても、そして私自身にとっても、それをを実行に移すもっとも重要な年であると考えています。


マーク・ベニオフとパーカー・ハリスら創業者がセールスフォース・ドットコムを設立して20年が過ぎ、今は第4次産業革命、顧客優位時代の真っ只中にいます。世界中のビジネスがめまぐるしいスピードで、膨大なデータをクラウド上でやり取りしています。日本でも金融機関、製造業、小売業、公共機関が、それぞれその先のお客様と「つながる」ために、クラウド・バイ・デフォルトであらゆるクラウドプラットフォームの採用を加速しています。


セールスフォース・ドットコムが提供するクラウドプラットフォームも、セールス、サービス、マーケティング、コマース、コミュニティ、コラボレーション、インダストリー等、B2Bビジネスだけでなく、B2Cビジネスも含め、顧客接点を360度でカバーするプラットフォームへと大きく変化しています。その結果、あらゆる規模と業界の企業にとってその先の顧客と繋がるために必要なビジネス基盤として数多くの企業での採用が急速に進んでいます。またデジタル化の加速に従い指数関数的に膨れ上がるデータの利用が必須となり、データ統合API連携に欠かすことができないMuleSoftの買収や、データ分析やビジネスインテリジェンスに欠かせないTableauの買収が実現したことは、当社にとっての必然であったと考えています。


そのような国内企業環境の進化を支援するためにセールスフォース・ドットコムとしても昨年、国内事業への投資を大幅に拡大し、今後5年間で2,000名の社員を増員すること、2021年下期には「Salesforce Tower Tokyo」を開設することを表明しました。また地方創生の必要性が高まる中、人財育成、スマートシティーの実現に向けた各自治体との協業も加速させ、地方への投資も強化しています。本年はそれをさらに加速させる必要があると考えています。


企業が成長を続けることは必要ですが、一方でビジネスが成長を続けるために社会がどうあるべきかを考えることがそれ以上に大切な流れになっています。セールスフォース・ドットコムでは、「ビジネスは、世界を変えるためのプラットフォーム」であると常に考えてきました。そしてその考え方がこれまで以上に重要な役割を担うと考えています。昨年11月にサンフランシスコで開催した年次イベント「Dreamforce」でも、数ある新技術の発表に先駆け、国連が提唱するSDGsに対するセールスフォース・ドットコムのコミットメントが大々的にアナウンスされました。2022年までに再生可能エネルギー100%を目指すことを宣言し、ビジネスにおける環境負荷を測定可能にするSustainability Cloudで環境対策を推進し低炭素社会に向けた取組みを全面的に支援します。また今後1年間にわたり、非営利団体のパートナーへの助成金を通じ1700万ドルを投資してSDGsの推進を図るとともに、従業員がSDGs支援を目的としたボランティア活動に合計100万時間を充てることを約束しました。


セールスフォース・ドットコムは、「日本オフィス開設 20周年」の節目を迎える本年も、お客様の成功こそが私たちの成功と信じ、創業以来掲げている行動規範(コアバリュー)である 「信頼、お客様の成功、革新、平等」を追求し、日本社会の発展と日本企業のビジネス成功を目指すとともに、社会の変化、世界の変化に向けて、引き続き邁進していきます。