初めて訪れるWebサイトを開いた時などによく表示されるWebプッシュ通知の許可を求めるプロンプト。ポップアップのようで煩わしく感じる時もあるが、プッシュ通知はWebサイトによっては便利な機能であるだけに完全に無効化するか悩むところ。今年の春からWebプッシュ通知の体験の改善に取り組んでいるMozillaが、プッシュ通知プロンプトに関するFirefoxのテレメトリデータを紹介しながら、Firefox 70以降の変更を公表した。

Webプッシュ通知はユーザーにとっても、情報を提供する側にとっても有用な機能であるとMozillaは認めている。しかし、ユーザーの多くがプッシュ通知の許可を求めるプロンプトを煩わしく思っている。

Firefoxに表示されたプロンプトの約99%は受け入れられず、48%ものプロンプトでユーザーが拒否のアクションをとっていた。例えば、Firefox 63の1カ月のデータでは14億5,000万回のプロンプト表示に対して許可は2,366回。比較的許可が多い月だったが、それでも1回の承認に対して60回の拒否または無視であり、およそ5億ケースで「Not Now」(後で)が押された。言い換えると、プッシュ通知に興味を持たないユーザーの多くの時間をプロンプト表示が奪っていることになる。

承認の78%は初めて表示されたプロンプトで行われた。「Not Now」を押して許可しなかったユーザーは2回目以降も許可しない可能性が高い。新ユーザーだけに絞り込むと、最初のプロンプトで許可する割合が9%と高い。しかし、使い続けるとともに許可率が下がり、全体では2.4%である。

Webサイトを開いた時に自動的に現れるWebプッシュ通知のプロンプトがユーザーに歓迎されていないのは明らかであり、そこで自動的にプロンプトを表示するのではなく、ユーザーによるアクションでプロンプトを表示するユーザーインターフェイスを試した。結果は、最初のプロンプト表示でNightlyユーザーの52%が許可するなど許可率が大きく向上した。ただし、プロンプトの表示回数が大幅に減少した。ポップアップのようなプロンプトの自動表示と違って、Webプッシュ通知が用意されているサイトにユーザーが気づいていない可能性がある。煩わしくないユーザーインターフェイスでWebプッシュ通知の存在をユーザーに伝えることが課題になる。

  • Firefox 72のWebプッシュ通知プロンプト

    通知のアイコンをクリック、自動ではなくユーザーによるアクションでプロンプト表示

Firefoxでの対応としては、Firefox 70で、ユーザーが許可しない場合のプロンプトのボタンを「Not Now」(後で)から「Never」(許可しない)に変更した。そしてFirefox 72から、プロンプトの自動表示を止めて、URLバーのアイコン表示でWebプッシュ通知が用意されていることを示し、ユーザーがアイコンを押した時に通知設定のプロンプトを表示する。