10月2日、インテルが第10世代Intel Coreに関する説明会を開催した。これに関連する最新製品のショーケースも併設されていたので、あわせて紹介したい。
説明会ではまず、同社執行役員常務 技術本部 本部長 土岐英秋氏が、2006年のCore 2 DuoからのCPUアーキテクチャの歴史を振り返った。おおむね2~3年で更新されてきたIntelのアーキテクチャだが、2015年のSkylakeから今年2019年のIce Lakeまでは4年かかった。少し長くかかったと表現したが、その間も14nmプロセス自体が14nm+、14nm++と進化してきたことでプロセッサ自体の進化は止まっていなかったと語る。
また、従来までのCPUは、プロセス&パッケージングとCPUアーキテクチャというCPU本来の性能に特化してきた。これに対し第10世代Intel Coreのモバイルプロセッサでは、加えてXPUアーキテクチャ、メモリー、インターコネクト、セキュリティ、ソフトウェアといった具合に、ワークロードに最適化されたプラットフォームを採用することで、イノベーションを起こすと言う。
第10世代Core、Ice LakeとComent Lakeは何が違う?
モバイルPC用にリリースされたIce Lakeに関しては、技術本部 部長で工学博士の安生健一郎氏がより詳しく解説した。まず第10世代とあるが、実際には製品のコードネームとしてIce LakeとComent Lakeの2つが混在する。Ice Lakeは最新の10nm、Comet Lakeは現行デスクトップCPUと同じ14nm世代で製造されている。
まず、Ice Lakeは新アーキテクチャのSunny Coveが採用されてIPCが向上するとともに、第11世代Iris Pro Graphicsによって3D性能が向上している。そして、XPUに関する部分では、AI推論命令セット「インテル ディープラーニング・ブースト」(DLブースト)、GNAによって音声処理などバックグラウンドのワークロードを超低電力で処理、Thunderbolt 3をCPUに内蔵し、Wi-Fi 6をサポートする。
DLブーストではINT8のAI性能が第8世代比で2~2.5倍となり、Iris Pro Graphicsでの目玉はEUを64に増加したとともに、CPUとシェアするメインメモリをLPDDR4-3733に対応させたことで3D性能と電力効率を大幅に向上させた。また、VESAのAdaptive Syncをサポートすることでゲームにおける映像品質を向上、モバイルPCにおける液晶パネルの消費電力を抑える。
とくに3D性能の向上はFPSで最大1.8倍向上とされ、1080p環境におけるゲームプレイが可能というベンチマークを紹介した。グラフを見ると、画質は低~中であるが、フレームレートは30~60fpsあたりになり最低限プレイ可能な環境を満たすことができるようだ。
Comet Lakeに関しては、同じモバイルのTDP枠内で6コア12スレッドモデルを用意する一方、グラフィックスはIrisではない通常のIntel UHD Graphicsが組み合わされる。こうした仕様から、メディア性能に優れたIce Lakeに対し、CPU性能を求めるニーズにComet Lakeがマッチすると言う。
メインメモリはDDR4-2666に引き上げられている。LPDDR4では2933までサポートするとある。また、Thunderbolt 3に関してはプラットフォームとして別チップで対応するところも異なる。Thunderbolt 3はモバイルPCメーカー側の判断となるが、Thunderbolt 3がUSB 4の仕様に組み込まれたことで、ほとんどのメーカー採用する見込みとされる。そして、Optaneに関しては、最新の「Optane Memory H10」が紹介された。
Optane Memory H10は、レスポンスの速いIntel Optaneと、容量に優れるIntel QLC 3D NANDを組み合わせた製品になる。従来、Optane Memoryをキャッシュとして、SSDやHDDをIntel Rapid Storage Technology(IRST)によって運用する手法が提供されていたが、これを1枚のM.2 SSD上で完結させるイメージだ。
最新製品が一堂に会したショーケース
ここからはショーケースの内容を写真とともに紹介していこう。