ロジクールは8月16日、ゲーミングキーボードの新製品として、ワイヤレス接続の「ロジクールG913ワイヤレスRGBメカニカル ゲーミング キーボード」(以下、G913)と、有線モデル「ロジクールG813 RGBメカニカル ゲーミング キーボード」(以下、G813)を発表しました。8月29日発売で、参考価格(税別)はG913が30,250円、G813が23,250円となっています。

Kaihua社製「KailhロープロファイルGLスイッチ」を採用したハイエンド製品

どちらも薄型のメカニカルキースイッチを採用し、薄さ22mmを実現。キースイッチの種類によって、タクタイル、リニア、クリッキーという3種類のラインナップを用意しています。つまり、G913で3モデル、G813で3モデルです。

  • 上が有線のG813、下がG913。写真では区別できませんが、左からタクタイル、リニア、クリッキーモデルです

・タクタイル:キーを押し込んだときに、わずかに抵抗感。メカニカルキーボードでよく使われるタイプ。

・リニア:キーを押し込んだときに抵抗感がなく、スムーズな入力感。打鍵音も静かなので、ストリーマーに好まれています。

・クリッキー:キーを押し込んだときに、抵抗感とともにカチっとした反応があり、ゲーミングキーボードで好まれるタイプ。

  • 上が有線のG813、下がG913。G913は無線接続のスイッチが追加されており、奥側に電源スイッチもあります

  • G913とG813は、周辺にカバーがないフローティング構造のキーボード。ロープロファイルのキースイッチを使っているため、非常に薄いのがわかります。台座はA5052アルミ合金で、高級感が漂います

  • 本体右奥にある音量調整ローラー

  • 折り畳み式のスタンドを立てることで、4度または8度の2段階で傾けられます

  • 従来の「Romer-G」キースイッチはキートップ中央にライティングLEDがありましたが、Kailhスイッチはキー上部にLEDがあるので、キートップの文字も上に寄っています

  • タクタイルキー。いわゆる「茶軸」と呼ばれるもの。キーの下側に接点が見えます

  • クリッキーキー。いわゆる「青軸」と呼ばれるものですが、白い軸です

  • リニアキー。いわゆる「赤軸」と呼ばれるものですが、今回のキースイッチはすべて押下圧が約50gとやや重めです

8月16日には発表会も開催され、プロダクトマネージャー・Cate Wu氏が製品のバックグラウンドを紹介しました。Logicoolのゲーミング製品で「Gシリーズ」と呼ばれるものは、一般ゲーマーに最高の品質と性能を届けるという使命を持っているとします。中でも型番が「900」番台の製品はハイエンド製品として、最新のテクノロジーを使用しているのが特徴とのこと。

今回のG913では、A5052アルミ合金製トップカバーの上にキースイッチをむき出しで取り付けたフローティング構造ながら、中国Kaihua Electronics(Kailhブランド)のロープロファイルGLキースイッチを採用することで、非常に薄いキーボードを実現。また、ローラー式のボリュームコントローラーも採用しています。

  • Logitech Product ManagerのCate Wu氏。手に持っているのは100円玉で、100円玉の直径(22.6mm)とG913の厚みがほぼ同じことをアピール

ロジクールG製品として以前からある、有線接続並みの速度を実現する無線技術「LIGHTSPEED」、フルカラーかつキー独立のバックライトコントロール「LIGHTSYNC」、プログラマブルファンクションキー「Gキー」も、G913は備えています。技術全部入りという感じ。また、LIGHTSPEEDによる無線接続のほか、Bluetooth 5.0での接続にも対応しています。

有線モデルのG813は、直付けUSBケーブルの先が二股に分かれており、2つのUSBコネクタがあります。両方ともPC側のUSBコネクタに接続しますが、1つはG813本体とPCの接続で、もう1つは「USB延長」です。G813にはUSB Type-Aのメスコネクタがあり、ここにマウスを接続できるようになっています。

  • G913はハイエンドらしく、KailhロープロファイルGLスイッチやBluetooth接続を含め、Logicool Gで使用された主要技術を網羅しています

  • G913とG813の違い。有線/無線の違いとお値段以外は、ほぼ同じです

ロジクールの伊藤玄四朗氏は、国内のプロモーション活動などを紹介。ゲーミングコミュニティでの活動や、スポンサーシップを強化していくそうです。

  • ロジクール ゲーミングクラスターカテゴリマネージャー、伊達玄四朗氏

  • プロモーション活動。コミュニティと一部量販店での試遊、タッチ&トライを展開

  • スポンサーシップも積極的

ロジクールブランドアンバサダーを務める岸大河氏は、ゲーマーとしての使用感を語りました。2019年の1月ごろ、最初のG13試作機が届いたとき、パンタグラフ式のように見えたのでメンブレンキーボードだと思ったそうです(ハイエンドのG9xxシリーズだとは思わなかった)。実際に使ってみて、キーストロークが2.7mmと短いため「頭と指とキーボードの連動」があり、瞬間的な動きを求めるゲームに向いているとコメント。

  • ゲームキャスターの岸大河氏。2014年からロジクールGブランドアンバサダーに就任し、ゲーマーの立場から製品の良さをアピールしました

タッチアンドトライで触ってみた感じでは、ストロークの短さが1つのキモになりそう。ストロークが短いと、タクタイルキーの良さがあまり出ずに底打ちしてしまうため、個人的にはリニアキーがもっともしっくりきました。

3つのキータイプすべてが押下圧50gと重めですが、実際に触ってみると、ストロークの短さもあってそこまでの重さは感じません。G913のバッテリー寿命は公称30時間で、短いかな……という気もしますが、これはLEDをフルに使ったときの数字。使用シーンに応じてキーボードバックライトをオフにすることで、より長いバッテリー駆動時間が得られるでしょう。

ちなみに、従来のゲーミングキーボードはすべてフルストローク(約4.0mm)なので、プロ選手がすぐにG913やG813を利用することはないと思います。岸氏もコメントしていましたが、慣れが必要だからです。ただ今後、ゲームタイトルによっては、使いこなすことで選手の有力な武器になる可能性もあります。

一般目線でいえば、G913・G813はゲーミングキーボードのハイエンド製品ゆえに、価格もトップクラス。購入にあたっては、コミュニティイベントやサンプル機のある店舗でじっくり検討したいところです。ノートPCやゲーミングノートPCをメインに使っているユーザーなら、4.0mmストロークのデスクトップキーボードに慣れたユーザーよりも、G913・G813になじみやすい一面があるかもしれません。

なお、G913・G813のテンキーレスバージョンは?という記者の質問に対して、将来の製品には回答しかねるとしつつも、含みを持たせた回答でした。また、最近は「光学式スイッチ」技術がゲーミング業界で注目されていますが、「まだコスト的に難しい」との回答。技術とコストは時間が解決してくれるので、ゲーミングデバイスには今後もイノベーションが起きそうです。

  • Logitech Sr.Project ManagerのAlan Lu氏。Q&Aセッションの回答を担当

  • フォトセッション。左からLu氏、Wu氏、岸氏、伊達氏