Siriは日本語でもスムーズに指示できた

Apple Musicを利用している場合、曲の選択や音量の調整はすべて音声アシスタントのSiriを用います。日本語の音声認識がうまくいかずイライラしないだろうか…と思っていましたが、それは杞憂でした。

HomePodは、円周上に6つものマイクを搭載していることもあってか、大きな声を出したりHomePodのある方に顔を向ける必要はなく、テーブルの向かいにいる家族に話しかける感覚で「Hey Siri、乃木坂のインフルエンサーをかけて」「Hey Siri、音量を上げて」といった感じでテキパキ指示できました。結構な音量で音楽を再生している時でも、「Hey Siri」の音声を認識すると一時的に音楽のボリュームが抑えられ、問題なく認識されました。

Siriを用いているだけに、曲名をズバリ指定しなくても聴きたい曲が再生できます。例えば「安室奈美恵のデビュー曲をかけて」と言えば「Body Feels EXIT」が、「BABYMETALの一番新しい曲をかけて」と言えば「PA PA YA!! (feat. F.HERO)」がかかるなど、うろ覚えでもお目当ての曲が聴けるのはやはり便利だと感じます。

2スピーカーで迫力のステレオ再生も可能

HomePodの大きな魅力といえるのが、2台のHomePodを用意することで、1台では不可能な音響体験や便利な使い方が可能になることです。

まず1つがステレオ再生。2台のHomePodを用意して同じ部屋として設定すると、それぞれが左チャンネルと右チャンネルのスピーカーとして機能します。左右のスピーカーを部屋の隅に配置して距離を確保したところ、グッと広がりのあるサウンドが楽しめました。もともと大きなサウンドが出せるHomePodが2台になることで、大音量で再生した際の迫力はかなりのもの。ソファなど、音楽を楽しむ場所が決まっているならば、2台でのステレオ再生は断然オススメといえます。

  • HomePodの醍醐味といえるのが「2台でのステレオ再生」。音響の広がりとパワフルさを増したサウンドは、1台での再生にはない魅力だ

もう1つが、異なる部屋にHomePodを設置し、人の動きに応じて音楽の再生をいろいろ制御できること。2台のHomePodをそれぞれ「リビングルーム」「ベッドルーム」に設定した場合、寝る際にSiriに「音楽をリビングルームからここに移して」と話せば、楽曲の再生がベッドルームに移るという仕組みです。もちろん、それぞれで異なる楽曲を再生できます。

2台をまとめてステレオ再生で使うのと、それぞれを別々の部屋で使うのは、「ホーム」アプリの設定画面で切り替えられます。ただ、ホームアプリの構成がやや複雑なうえ、どの部分でHomePodの設定を切り替えるのか分かりづらいのは気になりました。HomePod専用のアプリをぜひ作ってほしいと感じます。

AirPodsとは異なるワイヤレス接続に戸惑う

HomePodは、SiriでApple Musicの楽曲を再生するだけでなく、ストリーミング機能「AirPlay 2」でiPhoneやiPadで再生している楽曲をHomePodで再生できます。右上からのスワイプでコントロールセンターを呼び出し、音声出力をHomePodに変更すれば音声が切り替わります。

  • NetflixやRadikoのアプリでは、コントロールセンターを呼び出して出力をHomePodに変えられる

  • YouTubeアプリは、ストリーミング先の指定で「AirPlay&Bluetooth devices」を選べばよい

アプリは音楽アプリのほか、YouTubeやNetflixなどでHomePodから音声が再生できました。画面に表示される映像との遅延はなく、迫力のある音声で映画やドキュメンタリー番組が楽しめるので、映画ファンは必見といえます。音声再生はRadikoのアプリも対応していました。

このあたりの使い勝手を見ていると、完全ワイヤレスイヤホン「AirPods」と同じように感じます。ただし、Bluetooth接続のデバイスとして扱われるAirPodsとは異なり、HomePodはBluetoothスピーカーとしては機能せず、AirPlay 2のみ対応するので、前述のアプリ以外はほとんど音声が出力できません。ゲームは残念ながらほぼ全滅で、「アイドルマスター シンデレラガールズ スターライトステージ」(デレステ)は音が出たものの遅延が3秒ほどもありました。この制約は、一般的なBluetoothスピーカーとの違いとして頭に入れておく必要があります。

Apple Musicファンに新鮮な体験をもたらす1台

Bluetoothスピーカーとしては利用できないHomePodですが、Apple Musicを楽しむデバイスとしてはこの上ない音質や使い勝手を持っていると感じます。特に、Siriの性能が思った以上に高く、それまでSiriを積極的に使っていなかった筆者も音声による選曲や音量調整で軽快に使いこなすようになっていました。Apple Musicを日々活用している人ならば、予想以上の体験をもたらしてくれるデバイスとなるはずです。現状では“Apple縛り”の印象が強い仕上がりですが、今後さらなる改良や機能追加に期待して使ってみるのもよいでしょう。

  • Apple Musicを手軽かつ高音質に楽しめるスピーカーとしては大いに満足できるHomePod。今後、機能の追加があるかにも期待したい