西武鉄道とヤフーは8月2日、ビッグデータとAIを活用して、西武鉄道が運行する各路線の混雑予測をWebサイトで発信する実証実験を同19日から9月20日までの33日間、実施すると発表した。通勤やメットライフドームでの野球開催時となど混雑時における電車移動の混雑緩和、快適性向上を目指す。

  • 混雑予報サイトの画面イメージ

    混雑予報サイトの画面イメージ

実証実験では、ヤフーが提供する乗換検索サービス「Yahoo!乗換案内」などで蓄積される将来の予定を含む路線検索履歴のビッグデータを個人が特定できないよう統計化した上で、AI(機械学習)による解析を行い、駅ごとの混雑パターンを推定する。

さらに、西武鉄道の駅別・時間帯別の降車人数データを掛け合わせることで、より高精度な混雑予測を実現するという。この仕組みは、Yahoo! JAPAN研究所と東京工業大学の下坂正倫准教授の研究チームが連携して開発したAIをベースとしている。

今回の実証実験は、ヤフーが10月から提供を開始する企業間ビッグデータ連携による事業者向けデータソリューションサービス「DATA FOREST(データフォレスト)」のサービス開始に向けた実証実験の一例として実施するもので、乗換検索サービス提供会社と鉄道会社が連携して行う混雑予測の情報提供は国内初の取り組みだという。

実証実験を行う駅は、通勤時間帯において多くの乗車客が利用する主要駅(通勤利用駅)の池袋駅、西武新宿駅、高田馬場駅、国分寺駅と、野球が開催されるメットライフドームの最寄り駅である西武球場前駅の計5駅。通勤利用駅では、平日の朝(始発~10時)の混雑レベルおよび通常より混雑が予測される時間帯を表示することで、ピーク時間帯以外の通勤を促すとしている。

また、東京都が提唱する交通混雑緩和のための取り組み「スムーズビズ」の一環として実施するほか、西武球場前駅では西武ライオンズと連携し、野球開催日のメットライフドームへの来場時間帯の駅混雑レベルと試合前イベントの情報を表示することで、早めの来場を促すという。

混雑予測は、西武鉄道Webサイト内に新たに開設する「混雑予報サイト」から閲覧できることに加え、本実証実験の効果検証のため、混雑予測に関するアンケートを実施する。