富士フイルムは6月12日、インスタントカメラ“チェキ”の新製品「instax mini LiPlay」(インスタックス ミニ リプレイ)を発表しました。ここでは、同日行われた発表会で展示された実機を中心に見ていきましょう。
最小・最軽量のチェキでもある
チェキは、撮影した写真がその場でプリントができるインスタントカメラとして、実に20年以上の歴史があるシリーズです。その最新モデルとして登場したinstax mini LiPlayは、チェキで初めて音声メッセージが記録できるのが大きな特徴です。使用するフィルムは、もっともポピュラーな長方形の「instax mini」です。
カメラ部分にアナログ技術を用いている一般的なチェキとは異なり、instax mini LiPlayはデジタル技術を用いることで、大幅な小型軽量化を果たしたのもポイント。背面には2.7型液晶を搭載しながら、チェキ史上最小最軽量ボディに仕上げました。デジタル技術を用いているので、液晶で写真を選んで好きなときに何枚でもプリントできるのも魅力となっています。
撮像素子は約500万画素の1/5型CMOSセンサー。レンズは35mm判換算で28mm相当/F2の単焦点で、最短撮影距離は10cmです。ISO感度やホワイトバランスはオートですが、露出補正は可能。バッテリーは内蔵で、マイクロUSB端子で充電が可能。充電時間は2~3時間で、フル充電で約100枚プリントできます。
スマートフォンの画像をBluetoothで転送してプリントする機能も搭載し、スマホのフォトプリンターとしても利用できます。画像にフレームを付けてプリントする機能も備えています。
QRコードを用いる音声機能をチェック
続いて、instax mini LiPlayの最大の特徴である音声プリントの機能をチェックしてみましょう。
撮影時か再生時に、1枚の画像に対して最大10秒間の音声が録音できます。音声は、専用アプリをインストールしたスマホを経由して、同社のクラウドストレージにアップロード。その際、音声データを再生するURLアドレスを記したQRコードが発行され、チェキのプリントにそのQRコードがプリントされる仕組みです。
プリントを受け取った人は、スマホのQRコードリーダーで読み込めば、写真とともに音声を聞くことができます。再生はWebブラウザー上で行われるため、再生だけなら専用アプリは不要で、スマホやタブレットの機種も問いません。QRコードの中身はURLですから、リンクを共有すればパソコンでも楽しめます。
音声データは何件でもアップロード可能で、クラウド上に1年間保存されます。富士フイルムでは今後、音声データをダウンロードできるようにするなど、さらに使い勝手を高めるべく検討を進めていくとのことです。
撮影時の録音ですが、本体前面のマイクボタンを押すと録音スタンバイ状態となり、シャッターボタンを押すとその前後5秒間ずつの計10秒を記録する仕組みになっています。つまり、撮影の直前の「ハイ、チーズ!」などの楽しい声も記録できるというワケ。音声付きの画像はカメラのほか、アップロードに使ったスマホにも保存されます。
ストラップや新フィルムも用意
純正アクセサリーとして、クライミングロープのようなショルダーストラップ(希望小売価格は税別1,630円)と、カメラを包むソックケース(希望小売価格は税別1,500円)が用意されます。いずれも、ボディカラーに合わせて3色をラインアップします。
チェキの新フィルムも2種類投入します。1つは、instax mini用の横長フィルム「CONFETTI」で、フレーム部分に光沢のあるデザインを取り入れたもの。もう1つは、instax SQUARE用の正方形フィルム「Star-illumination」で、こちらは星をちりばめたようなデザインを採用しています。
堀田茜さんと谷まりあさんが登場
発表会の会場には、モデルで女優の堀田茜さんとモデルの谷まりあさんがゲスト出演し、トークに花を咲かせました。
旅行などでチェキをよく使っているという堀田さんは、instax mini LiPlayの印象を「デザインがかわいいですし、専用のストラップを着ければ持ち運びしやすいです。持ってるだけでウキウキしますね」と話しました。
谷さんは「とてもコンパクトなので、小さなバッグにも余裕で入ります。今はビニールのバッグが流行っているので、そのまま入れて外から見えるのもおしゃれだと思います」と提案。谷さんはチェキの大ファンだそうで、自身で5台ほど持っているとのこと。
ステージで自撮りをした2人は、早速サウンド機能を体験。「誕生日の人にメッセージを添えて渡せたらいいですね。ファンとしては、チェキに音声が付いたのは本当にびっくり。将来、赤ちゃんの声を撮ってみたいですね」(谷さん)。堀田さんは「これからイベントが多い季節なので、その場の音を残して想い出にしたいです。いろいろな人の思い出を音で彩っていくんだなと思います」と、2人ともすっかり気に入った様子でした。
世界的に売れまくっているチェキ
富士フイルム 代表取締役社長・COOの助野健児氏は「2018年は前年に続きイメージング事業の売上が増加したが、なかでもチェキの販売が好調で、イメージング事業全体をけん引している」と述べました。2018年に初めて販売台数が1,000万台を超えたinstaxシリーズですが、今後もさらに伸ばしていきたいとのことです。
instaxシリーズは新興国を含めて認知が広まっており、現在は100カ国以上で販売されているそう。音声という新機軸を打ち出したinstax mini LiPlayが加わったことで、今後さらに販売台数が伸びるかもしれません。
著者プロフィール
武石修
1981年生まれ。2006年からインプレスのニュースサイト「デジカメ Watch」の編集者として、カメラ・写真業界の取材や機材レビューの執筆などを行う。2018年からフリー。