NTTデータとNTTデータCCSは4月9日、AI(人工知能)と画像解析技術を活用した農業ソリューションとして、水稲の生育ステージを診断する「生育診断ソリューション」と農作物に発生した病害虫・雑草の同定を可能とする「病害虫・雑草診断ソリューション」を開発し、4月1日から2020年3月末までの予定で試行サービスを開始したと発表した。試行サービスでの結果を基にさらなる改善を行い、2020年度以降の本格サービスの提供を目指す。

両サービスは、NTTデータの営農支援プラットフォームである「あい作」のオプション機能としての提供、スマートフォンアプリでの提供、API連携による提供を行う。

スマートフォンなどで撮影した圃場(ほじょう)の画像から、AIが水稲の生育ステージや、病害虫や雑草の種類を判断し、経験の浅い営農者でも適切なタイミングで施肥などの作業を実施できるという。

生育診断ソリューションは、圃場をスマートフォンなどで撮影した画像からAIが水稲の生育ステージを診断する。

  • 生育診断ソリューションのイメージ

    生育診断ソリューションのイメージ

生育ステージの診断には、通常は熟練者の経験に基づく判断が必要だが、同ソリューションを使用することで、経験の浅い営農者でもAIが診断した生育ステージにより適切なタイミングで施肥などの作業を実施可能になるという。

適切なタイミングでの追肥は収量の増加や品質向上に繋がるといい、これにより営農者の収益性の向上への貢献になるとしている。

これまでにコシヒカリで診断技術の実証を行ったところ、高い精度での診断が可能なことが確認できているといい、今回の試行サービスを通じて他の品種への適用について実証を行う。

病害虫・雑草診断ソリューションは、圃場においてスマートフォンなどで撮影した病害虫・雑草の画像から、AIが病害虫・雑草の同定を行う。AIが病害虫や雑草の種類を正確に同定することで、効果が高く適切な防除策を営農者が選定できるようにサポートするという。

  • 病害虫・雑草診断ソリューションのイメージ

    病害虫・雑草診断ソリューションのイメージ

病害虫・雑草の防除は発生初期段階で防除を行うことで被害を抑制することが可能だが、その段階で種類を特定するには熟練者の経験に基づく判断が必要となる。同ソリューションの使用により、経験の浅い営農者でも適切な対処を適切な時期に実施可能になるとしている。

両サービスを通じて、診断精度のさらなる向上を図るとともに、本格サービス開始に向けてAIが学習する際の基となる教師画像データを蓄積する。両社の役割は、NTTデータは教師画像データ収集基盤の構築、試行サービス提供基盤の構築、あい作のオプション機能の開発を担当する。NTTデータCCSは、生育診断AI及び病害虫・雑草診断AIを提供する。