ドローン検知は、世界的に利用されているレーダー方式、音センサー方式、カメラ画像方式、電波検知方式のうち、電波検知方式を除いた3方式を組み合わせる形で独自開発されている。電波法の関係上、海外製品を持ち込んで利用することはできない中、国内で利用できるシステムを開発したわけだ。

  • ドローン検知は3方式を組み合わせ

水平方向と垂直方向を見る2つのレーダーに、近赤外線照明つきの高速パンチルトズームカメラと3D指向性マイクを組み合わせている。レーダーは鳥等を含めて飛来する物体を検知し、カメラがそれに追従して撮影を行う。マイクで飛来物から音が出ているかどうかを確認し、ドローンであるということを確定させる方法だ。飛行の軌跡を把握できるため、複数台が飛来した場合でもどこから来たものかや、遠ざかっているのかも確認できる。

  • ドローン検知システム。高速パンチルトズームカメラ(左上)、レーダー(右上)、3D指向性マイク(下)。マイクはドーム型の中に納められる

「最初の頃は前日に設営させてもらっていましたが、今は組み立て式の簡易な櫓に付けておき、当日朝に、まるごと持ち込んで設置できるようになっています。かなり簡単に利用できるようになりました」と髙橋氏は語る。この仕組みは、東京マラソン以外でも採用例は数多くあるようだ。

東京マラソンは3万人を超えるランナーと1万人以上のボランティア、多数の運営スタッフが参加する。これに沿道を埋める観客が加わるわけだ。そしてスタートエリアとフィニッシュエリアは広く、コースは長い。求められる安全性も高いことから「最も難しい警備かもしれません」と髙橋氏は語る。

それだけに、即座に実用的な効果が出せるものではなくても将来の成長を見込んでの試験利用や、実験的な取り組みなども行われてきた。新たなセキュリティ技術が毎年数多く盛り込まれるのが、東京マラソンということになる。2020のオリンピックではランナーとともに警備に注目してみても面白そうだ。