楽天コミュニケーションズが3月12日、「IT系開発者の就業環境調査」の結果を発表した。これによると、IT関連のシステム開発やプロジェクトに従事している人の75%以上が本業である開発以外の業務も行っており、マルチプレイヤーとしての働き方や、それに伴う業務効率化が求められているという。
同調査は、IT関連のシステム開発やプロジェクトに従事している516人を対象として2月中旬にインターネット経由で実施した。
本業の開発以外の業務を行っているという回答者のうち、「顧客との折衝・交渉」(61.1%)との回答が最も多く、「メンバーへの研修、教育、指導」(51.2%)、「社内会議の調整・プレゼン」(44.5%)、「コスト管理」(39.6%)、「請求・支払管理」(39.4%)と続く。
IT系開発者は、多岐にわたる業務を行いながら開発業務を行う就業環境にあるケースが大半を占め、業務効率化が必要不可欠であることがうかがえるという。
IT系開発者が開発業務効率化のために利用しているツールを尋ねると、上位から「バージョン管理ツール」(45.2%)、「IDE(統合開発環境)」(35.1%)、「タスク・プロジェクト管理ツール」(34.7%)の順となった。
「RPA・自動化ツール」は18.2%であり、業務プロセスの標準化やAI・ロボティクスの活用が一部の先進的な企業による導入だけでなく、多様な業界・業種で進んでいると推測。
開発中のシステムやアプリが自社利用目的か社外導入目的かを聞いたところ、自社利用が43.0%、社外導入が43.2%と拮抗した。デジタルトランスフォーメーションの潮流の中、社外導入目的の開発だけでなく、ビジネス環境の変化にも即対応できるよう内製化が広がりを見せていると分析している。
これまでの開発経験でWeb-APIを活用した開発実績があるかを尋ねると、「ある」という回答者が55.2%と過半数に上った。「APIエコノミー」が拡大から普及期へ向かい、APIの活用によるイノベーション事例の増加と共に、Web-APIが開発者の業務効率化に寄与している様子が伺えるという。
その一方、開発業務効率化のために利用しているツールでは「APIマネジメントツール/クライアントツール」が17.2%にとどまっており、APIを活用した開発実績に対して、開発業務効率化を目的とするAPI関連ツールの利用は比較的少ない結果となっている。
なお、Web-APIでの開発実績があるシステムやアプリは、「情報系システム」(60.7%)、「生産管理、基幹業務」(50.9%)、「コミュニケーション・コラボレーションツール」(33.0%)の順だった。
開発者にとって今後需要が高くなると思うプログラミング言語を聞くと、Javaが39.0%で最も多く、JavaScript(33.3%)がこれに続く。機械学習やAIでよく使われるPythonは、28.9%で3位となった。
全体としてTCOを減少させることでコストパフォーマンスの向上が期待でき、多様なパッケージソフトなどの活用でビジネスプロセス変革を支援するソリューションの実現が可能な、オープン系言語に対する期待が伺えたという。